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4話
洞窟、というに何が惹かれたのかと少し疑問に感じつつもむつは、入場料を払い山の方に向かって歩いていく。鬱蒼とした木々で、太陽の光も届かず陰鬱とした雰囲気が漂っていた。
やけに静かだし、人気も少ない。ひんやりとした空気は、気温の低さによるものではなさそうだった。
砂利の両サイドには、手摺が備え付けられているが、手摺というよりも道を外れないように作られているように思えた。
むつは何か余計なモノが自分の周りを取り囲んでいるような気分になり、歩調を早めた。
立て看板のある、ぽっかりと暗い口を開けた洞窟はむつが思っていたような、真っ直ぐに伸びているものではなかった。石を重ねただけの階段があり、下に続いていた。
これを下りていくのかと思うと、すぐにでも引き返したくなった。だが仕事だ、仕事だと言い聞かせゆっくり足元に気を付けながら階段をおりた。
ある程度下りると、あとは平らな道が続いていた。何の為の洞窟なのかが、さっぱり分からなかったがすぐに地上に出れる階段が視界に入った。
 




