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4話
「何ヵ所か同じ所に行ってるね」
「うん。ここをあたってみた方角早そうな気がするんだけど…」
「そうだな…って、それは自分で分かってたんなら俺に言わなくても良いんじゃないの?」
「うん、まぁ…ほら、報告するって言ったわけだし。一応色々言った方がと思ってさ」
むつは、とんとんっとメモを揃えると自分の席に戻っていった。
「普段、平気で単独行動するのに?」
「そうね。…けどまぁ、何かね」
「ちょっと乗り気じゃないから不安?」
「不安ってより、誰かに代わって貰いたいって気分かな。とりあえず行ってくるよ」
椅子にかけていた上着を羽織ると、眼鏡をかけて昨日と同様にニット帽の中に髪の毛を入れてかぶった。
「今日、今から出るし遅くなるかもだから直帰すまーす」
「はいはい。サボらないように、何かあったらすぐに連絡を。良いね?」
「え?…うん」
颯介にも念押しするように言われてしまい、むつは頷きつつ返事をした。むつは鞄を斜めにかけて、バイクの鍵を持って駐輪場に向かった。




