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4話
むつはきちんと1と2のファイルにそれぞれの封筒をしまった。そして一緒に入っていたメモを取り出した。こちらにも、数字が振ってあった。律儀だなと思い、颯介の言っていた事が何となく思い出された。
沼井から聞いた時に書いたメモと2枚のメモを、ゆっくり見比べながらむつは机の端に置いてあったメモ帳を引き寄せた。
ボールペンをかちかちと鳴らして、芯を出したり引っ込めたりしながら、何かを書き込んでいく。
「颯介さん?あのさ…歳を取ると皆同じ所に行きたくなるのかな?」
「同じ所?あの世?極楽浄土?」
「いや、皆いつかは死ぬけど…そうじゃなくて。あたしなんて極楽浄土なんて無理な気がするよ。じゃなくて…嗜好って言うのかな?そういうのって似てくるもんなのかな、と思って」
がたっと立ち上がり、メモやボールペンを持って祐斗の使っている席に座ったむつは、颯介にも見せた。




