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3話
「そんなに…何かされたのか?」
「え、ねぇ、本当にしろーちゃんじゃないの?じゃあ、あたし誰と…」
「いくら合鍵持ってても、連絡もなしで行くわけないだろ?お前にだって都合あんだろ?」
「うん…だよね。そっか…えーっ‼何?そっくりさん的なやつ?あたし、だって…最悪すぎる。本当の不審者とき」
勢いのままに言いそうになったむつは、手で口を押さえた。
「き?」
「んー言わないとダメ?」
「そりゃまぁ俺も一応これでも警官だし…兄でもあるからな。言えないような事でもされたか?」
少し迷うように、間を開けて兄だからと言った冬四郎の声は本当に優しげだった。そして、どれだけ心配されてるのかも分かった。
悩んだ結果、むつは冬四郎の隣に移動し、内緒話をするように耳元に口を近付け、手で隠した。
冬四郎もちゃんと聞こうとしているのか、少しだけむつの方に顔を傾けている。だが、むつはなかなか言い出せない。
体勢はそのままに、むつは大きく深呼吸をした。そして、ようやく小声で何があったのかを冬四郎に話した。




