147/410
3話
「とりあえず、座れば?今更、通報しても遅いけど…何があったんだ?」
冬四郎は、自分の隣の空いている場所をぽんぽんと叩いた。すると、むつは露骨に嫌そうな顔をした。
「え、お風呂入ってないんでしょ?」
「お前ねぇ…まぁいいや。で、どういう事かちゃんと話してくれるか?」
頷いたむつは、冬四郎の向かい側に座った。ようやくむつの機嫌もいつも通りになってきた事に、冬四郎はこっそりと安堵した。
「一昨日、帰ったらしろーちゃんが居たの。うちに、リビングでパソコン開いて仕事してた…のかな?」
「ふ、ん?ん、まぁ…それで?」
納得は出来ないものの、冬四郎は首を傾げながら続きを促した。
「ちょっとイライラしてたから、八つ当たりしてペットボトルを投げたの。肩に当たったの…それで、その…」
「それで?」
言いにくそうに、むつは口をぱくぱくさせたり、あっちこっちに視線をさ迷わせたりしている。そして、冬四郎に視線を定めると泣きそうな感じで、へらっと笑った。
「ちょっと…うーん、言いにくい」




