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3話
颯介と共によろず屋を出て、酒なしで食事をしたむつは、バイクを駐輪場に預けたまま、ぱんぱんなった足を引きずるようにしてマンションに戻ってきた。
ドアを開けるのに、少しだけ躊躇いがあったが鍵を開けてドアを開けるといつも通り、真っ暗な部屋だった。
安心したむつは、靴を脱いで上がると、今夜もしっかりとチェーンをかけた。
リビングには昨夜飲まないまま、放置された炭酸水がテーブルにあった。それを見て、昨日の事が思い出されたのか、むつは舌打ちしながら冷蔵庫にペットボトルを入れた。
服を脱ぎ散らかして風呂に入った。ゆっくりお湯に浸かれば、疲れも多少は抜けるのかもしれないが、それよりも横になりたかった。
朝方まで呑み、オフィスのソファーで座ったまま仮眠を取っただけの身体は、そこらじゅうが痛かった。
髪の毛を乾かさず、ベッドに横になると、すぐに睡魔が襲ってきて、朝になるまで、むつは目を覚まさなかった。




