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3話
むつが最後と決めた場所は人形浄瑠璃も行う劇場だった。こういった場所に来た事のないむつは、興味もあり公演日程を見たり、チケットがなくても入れる範囲で見て回っていた。
特に、ここにも何かを感じる事はなかった。行った先々で、あればといった感じでとりあえずパンフレットを取ってきていたむつは、劇場でもパンフレットを貰い早々に出てきた。
鞄にパンフレットを入れ、ついでに地図も入れようとポケットから出した。帰りたい気分しかなかったが、一応、帰りがてらに寄れそうな所がないかを見ると、近くの神社があった。それも、道路を渡った目と鼻の先だ。
神社に寄って、その道を行けば駅に出れると分かると、むつは渋々道路を渡るべく横断歩道を探したがない。陸橋を渡るしかなさそうだった。
かつかつかつ、と階段をあがって、道路を渡り階段をおりて。鳥居をくぐると次は上り坂だった。上り坂は、わりと急だったが、むつは深呼吸をするとのぼりはじめた。




