135/410
3話
「半紙も和紙だよ…まだ、頭起きてない?」
くすくすと笑われ、むつは恥ずかしそうに、そっかと言った。
「和紙だけど…薄葉紙ってやつかな?」
「うすようし?」
「まぁ、読んで字のごとく、なんだけどね。普通の和紙よりも薄くて軽いやつだよ」
「ふーん?封筒は普通の紙なのに、中の手紙だけは和紙って変なの」
むつは珍しそうに、薄葉紙のさらっとした柔らかな紙を何度も撫でるように触っていた。
「薄葉紙ってのも珍しいね」
「うん。どれも白だし…これなら、色付きの方が綺麗な気がするのに」
「そういう問題?」
「ん?個人的に、その方が見てて楽しいかなってね」
何度も手触りを確認し、鼻を寄せてふんふんと匂いを嗅いだりしている。
「ダメだ。なーんも分かんね」
「匂って分かるような能力あった?」
「ない。試したら開発されるかもしれない」
「人から遠ざかるねぇ」
笑いながらも、颯介は手を休める事なく住所を調べてはコーピーしていく。
「あ、地図もいる?」
「出来れば…周辺の地図欲しいかな」
むつは出した手紙を折りたたみ、封筒にしまっていた。




