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3話
むつは散らかしたテーブルを片付け、歯ブラシを口に突っ込みながら、空気の入れ換えの為にも窓を開けて回っていた。
口をすすいで、顔も水でばしゃばしゃと洗いさっぱりしたのか、むつは軽く化粧をしていた。颯介がちらっと見ると、目の下にだけはたっぷりとコンシーラーを乗せて、隈を隠そうとしていた。
「それで、この住所以外に何もないの?」
「あとは…この枕元に置かれてたっていう手紙なんだけど」
箱を手にして、むつは颯介の隣、祐斗の椅子に座って箱をひっくり返して手紙を出した。
「何それ?」
「さぁ?この前、1通しか見なかったけど、それには…せいりつって平仮名で」
喋りながら、封を開けて中の手紙を取り出したむつは黙った。開けたやつをどけて、次のも開いて見た。
「どれも同じ事しか書いてない…これ、何?和紙…半紙?」
紙質が気になったのか、むつは指で紙をこすって手触りを確認して、颯介にも確認させるように渡した。




