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3話
「ん?不審者の顔見れたの?」
疑問に思った颯介が聞くと、あぁ?とかなり機嫌の悪いむつが颯介を見上げた。地雷を踏んだ気分だったが、今更戻る事は出来なかった。
「4番目のお兄様よ」
「宮前さんが、何で不審者?何?兄弟喧嘩?」
「まぁそんな感じ。質悪いけどね…もうこれ以上は聞かないで本当、思い出したくもない。仕事するわよっ‼」
「う、うん…むっちゃんは無理しないように。何か手伝える事ある?」
自分の声が頭に響いたのか、顔をしかめたむつは、それでもちゃんと仕事をする気があるのかテーブルを片付け始めた。
「あ、じゃあお願いしても良い?あのね」
ソファーに投げ出してあった鞄から手帳を出すと、むつは沼井がここ1ヶ月で立ち寄ったり出掛けた場所を書き留めていたページを開いた。
「これ、全部住所調べて貰える?」
「実際に行ってみるの?」
「うん。どこで何に憑かれたのか…それとも嫌がらせか…手掛かり少ないからね」




