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3話
イライラしたむつは、風呂場に行くと熱いシャワーを頭から浴びてしばらく、じっと動かずにいた。
先程の事を思い出すと、余計に苛立ってきた。口を開けて、湯を口の中に入れながら、冬四郎の舌の感触が消えるようにと何度も口をすすいでいた。
髪の毛と身体を洗うと、まともに拭かずにそのまま自室に入ると、服も着ずにベッドに横になって布団をすっぽりかぶった。
いつの間にか寝ていたらしく、夜中に目を覚ましたむつは、半乾きの髪の毛を適当にとかして、着替えた。そして、仕事に行くときに使っている鞄とバイクの鍵を掴むと、部屋を出た。
地下の駐車場に行くと、夜風に身体が震えた。上着を持って出てくるべきだったと思ったが、今更戻るのも面倒くさかった。
バイクにまたがり、ヘルメットをかぶったむつは、行く場所も決めずにとりあえずバイクを走らせた。




