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3話
むつは調べ物があるからと1人残り、颯介と祐斗を先に帰らせていた。
祐斗は、久し振りに食事して帰りしょうとしきりに誘ってくれたが、ばっさりと断った。今頃は、颯介が慰めながら呑みにでも連れて行ってるだろう、とむつは思いながら、何もせずに椅子に座っていた。
ぎしぎし、と背もたれを軋ませ調べ物をするかしないかで悩んでいた。やるとしても、5分もあれば終わる程度の物だった。だが、行動に移すまでの決心がなかなかつかない。
どのくらい、座ってぼんやりしていたのだろうか、すっかり外は真っ暗だった。
意を決したのか、むつはのろのろと立ち上がると、倉庫に入り鍵の掛かった棚を開けると、1冊のファイルを出して、ページをめくっていく。
だが、目当ての物はなかったのか、すぐに棚に戻して鍵をかけた。そして、倉庫のドアもきちんと閉めると、戸締まりを確認してオフィスから出ていった。




