3話
わいわいと自分の事で盛り上がってる2人の会話に飽きたのか、むつはタバコを吸い始めた。
「あのさ…そろそろ話戻すよ?」
短くなったタバコを灰皿に押し付け、むつは溜め息をついた。
「あ、ごめん」
「すみません」
会話を止めた颯介と祐斗は、表情を引き締めると、むつの方を向いた。
「えーっと、人か妖か分からない不審者っすよね?」
「そう。それもさ…篠田に1回目に呼ばれた次の日だったから、だから先輩も気にしてるみたいなの」
「次の日か…偶然?」
「分からない。関係あるなら調べていくうちに分かると思うし…あ、それからさ依頼書作成してないから、しばらくまぁ社長来ないかもだけどご内密に。頼むよ」
「沼井が絡むから、ですか?」
むつが頷くと、颯介と祐斗も真顔で頷いた。
「さて…とりあえず、一通りは話したかな」
むつはソファーに座ったまま、腰を捻ってばきっと鳴らしている。そんなに凝っているのかと思う程に、いい音がした。
「何で、西原さんなんすかね?いっつもこういう時って宮前さんが来てそうなのに」
祐斗が何気なく思った事を口にすると、むつは不思議そうに瞬きを繰り返した。
「え、何でそんな顔なんすか?だって、むつさんの好きな人なんじゃ…」




