3話
颯介と祐斗に話してしまった罪悪感があるも、むつはスッキリしたような表情を浮かべていた。
「あ、そんで西原さんは何しに?」
「まさか本当におはぎ並んで来た、だけって事はないよね?」
「おはぎ並ぶって何の話ですか?」
祐斗だけは、何も知らないからか、何でおはぎが出てくるのか気になって仕方ない様子だった。
「まぁ、おはぎは忘れて。この件、受けるか気になって来てくれたみたい。後はたぶん、不審者の事もあって」
「あぁ。その後は何もない?」
「何もないよ。で、その事なんだけど…あたしが気配で気付くって事は人じゃなかったのかな、って…」
颯介は顎に手を添えて、少し考えているようだった。
「可能性はあるな。むっちゃんと西原さんが、後ろ姿さえ見れなかったんだろ?まぁすぐにどっか曲がった可能性もあるだろうけど…気配を感じたなら、そうかもね。その時、すぐに分からなかったの?」
「うん。ただ、気配がするってだけで…妖っぽくもなかったし、人だと思ってた」
「むつさんでも分からない事ってあるんですね。何か良かったー」
あっけらかんとした様子で祐斗が言うと、むつはバカにされたと思ったのかきっと睨み付けた。
「あ、いやいや…何でも出来ちゃう人じゃなくて安心したんっすよ。普通の人だ、って」
「ん?祐斗君は何言ってるの?むっちゃんはわりと出来ない事多いし、前から普通だよ?」
祐斗のせいで話が反れてしまい、颯介と祐斗はむつをほったらかして、わいわいと喋っている。むつは、それを笑いながら聞いていた。




