3話
通帳を閉じて、テーブルに置いたむつは、つまらなそうな顔をしていた。
「その2人は、兄から沼井が400出して依頼した事を聞くと思う。それで便乗してくるなら…同じだけ払わせたいかな。そうでもなきゃ、やってらんないわよ」
「まぁ、何となく分かった。けど、よく400も出す気になったよね」
「沼井の方からは依頼が2件だから…怪異の事と、もう1つは…言えない。言いたくもない」
灰皿に置いてあったタバコを再びくわえると、むつは今度こそ火をつけた。
「そんなに嫌な仕事なの?」
「そう。だから…この400のうちの300は、あたしと颯介さんと祐斗に対する謝罪みたいなもんとして先に貰ってやった」
「何で、俺と湯野さんに対しての謝罪なんすか?」
煙を吐き出しながら、むつはがりがりと頭をかいた。そして、あーっとわめいている。
「分かる?この、お兄ちゃんも大事、颯介さんと祐斗も大事、だから隠したくないけど、お兄ちゃんには必要な時まで黙っとけって言われてる、あたしの気持ち。あーもぅやだやだ。煙が目に入った、いったいしもぅ‼」
急に何だか、イライラし始めてるむつを見て、颯介と祐斗が困っている。煙が目に入って痛いのは、2人のせいではないので、どうしようも出来ない。




