3話
「沼井と他2人の警察関係者に同じ怪異が起きてるの。で、それをどうにかしたくて、沼井がうちの兄に相談して、兄が篠田さんに言って、あたしが呼ばれたのがこの前の食事。こそに、しろーちゃんと西原先輩も居た」
「待って、待って…回りくどくない?お兄さんに相談が持ち掛けられたなら、お兄さんから、むっちゃんに話が来て良いんじゃないの?篠田さんを挟んだ理由は?」
「沼井たちは兄より立場が上なのね。で、兄は篠田さんと仲良いらしいから、沼井たちは、兄を使って篠田さんのつてを頼りたかった、って事みたい」
「それなら、沼井が篠田さんに…言えるわけないって事?この前の、あんな事があったから」
むつは頷いた。颯介は険しい顔をして、腕を組んで唸っていた。
「そう。沼井だけならほっといても良いんだけどね、兄と篠田さんは、他2人を何とかしたいんじゃないかな?そこは縦社会の何かあるんだろうけど…」
「んー?むつさん、関わる必要ないと思いますよ?」
「そうなんだけどねぇ、お金貰っちゃった」
明るく言い放ち、むつはデスクに戻ると鞄から通帳を持ってきて、記帳したページを2人に見せた。
「よ、よんひゃく?」
「一括払いしてまでも、何とかして欲しいって事なんだと思う…たぶん、だよ。たぶん、沼井よりその2人は立場が上なんじゃないかな?現役でもOBだとしても…だから、沼井が依頼人になってるんじゃないかな?で、自分達はあわよくばを狙ってる…のか、怪異なんて有り得ないと思っているのか」
「そもそも、本当に怪異があったの?」
「分からない。それも調べる…けど、あの沼井が言うならそうなんじゃない?自分の目で色々見てるはずだもんね」




