3話
むつがそう言うと、西原は少しだけ悲しそうな顔をしたが、むつはそれには気付かなかった。
「ん、ってか…もしかして、それ気になってて寄ってくれた?わざわざ、おはぎ並んで」
「まぁな、おはぎ…餡子好きだろ?」
「うん、好きっ」
「って言うわりに手つけてないな」
「真面目な話しながらおはぎ食べるのは、ちょっとねぇ…じゃあ、貰いますね」
皿を手に取り、フォークで1口大に切ってむつが食べ始めたのを見て、西原は楽しそうに笑っていた。
「なーにー?」
「篠田さんと宮前さんには言ったのか?」
「言った方が良い?先輩に報告したから、もういいかなーって感じだけど。うっわ、餡子うまっ‼」
大きなおはぎだったにも関わらず、あっという間に平らげたむつは、皿に残った餡子も指ですくって舐め取った。
「何で俺に報告して、あとはいいってなるんだ?」
「だって、あたしと同じで1番状況飲み込めてなかった側だし。不審者出た時にも一緒だったし、こーして心配してくれてるから…この件についての報告はしなきゃって思ってて。あの2人は、警視正から話が行くでしょ?」
皿をテーブルに戻したむつは、にやっと西原に笑いかけた。
「先輩のももーらいっ‼」
「太るぞ」
「ダイエットしまーす、明日から」




