3話
「で、先輩は?」
「あぁ、おはぎ並んでやったぞ‼」
自慢気に西原がむつの目の前に袋を突き付けた。むつは、何の事かすぐに分からなかったが、ふふっと笑うと袋を受け取った。
「まさか…本当に並ぶとは。寄ってく?ちょっと、聞いて欲しい事があるんだけど」
むつが真顔に戻して言うと、西原も笑みを引っ込めて頷いた。何だか、真面目な話っぽいなと思った祐斗は、そっと2人を見比べるだけだった。
3人がよろず屋に行くと、颯介がつまらなそうにコーヒーを飲みながらネットサーフィンをしていた。
「たっだいま」
「おかえり…っと祐斗君と西原さん?」
「お疲れ様でーす」
「お邪魔します」
「先輩、奥の部屋に行ってて」
「分かった」
西原が奥にある相談用の部屋に入っていくと、鞄も下ろさずにむつはキッチンでお茶をいれはじめた。
「あ、おはぎ貰ったよ。食べてね」
むつは皿におはぎを2つ乗せ、湯飲みと急須を盆に乗せると西原の待つ部屋に入っていった。
「何かあったの?」
「さぁ?むつさんか話があるからって言ってましたけど…」
颯介と祐斗は、よく分からずに顔を見合わせた。そして、西原からの差し入れのおはぎを貰う事にした。




