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3話
そういう事ならばと、むつと祐斗は並んで歩き出した。
「社長ね、昨日会ったよ。何か疲れてる感じだったけど」
「あ、そうなんっすか。なーんだ心配して損した気がします」
祐斗が唇を突き出して言うと、むつがくすっと笑った。山上の顔は見れたが、様子がおかしかった事は黙っていた。
「それよりも、篠田さんとデートしたんすよね?何なんですか、あの女子っぷり。まじでびっくりでしたよ」
「びっくりされても…女子なんだけど」
困ったように言うと、祐斗は携帯を取り出して、アドレス帳を開いた。
「画像登録しときました‼これで、むつさんからの電話の時には、いつでも女子なむつさん見れるんで」
「さいってー‼寄越せ‼消してやる‼」
携帯を取り上げようとすると、以外にも祐斗はするっとむつの手を逃れた。ちっと舌打ちしたむつは、むきになって祐斗を追いかけた。
「ダメっすよ‼これは永久保存っす‼何なら、うちの大学のやつらにプリンとして売りたいくらいなんですから‼」
「嫌がらせかーっ‼ふざけんな」




