3話
先に病院から出たむつは、晃の車に寄り掛かってタバコを吸いながら晃が出てくるのを待っていた。
「敷地内は禁煙だ」
「そーは言われても暇だったもんで。お話は終わりましたかね?」
むつは、持っていた携帯灰皿にタバコを入れ、指で揉み込むようにして火を消した。
「終わった。帰るぞ…その前に飯」
車に乗り込んだ2人は、ほとんど会話をする事がなかった。会話と言えば、どこで食事するかぐらいの程度だった。
しばらく車を走らせ、食事をする為にむつが選んだ店はどこにでもあるファーストフード店だった。
「お前、よく来るのか?制服のお子さまばっかりだね…何か浮いてない?」
「わたくしは子供ですから」
ハンバーガーにポテト、飲み物を乗せたトレーを持つとむつは地下に降りて行った。晃もトレーを持つとむつの後に続いた。
「根に持つタイプだな」
カウンター席で横並びに座り、むつはさっそく飲み物にストローをさした。炭酸のしゅわしゅわ感が、胃で膨らむような感じがした。
「で、依頼を受けるんだな」
「まぁねぇ高額請求出来たし」
包み紙を剥がして、晃はさっそくハンバーガーにかぶりついている。
「なぁ他の方って、どういう事だ?」
「え?分かんない。けど、いちにぃが沼井の頼みだけで動くのかなー?ってのと、出世の足掛かりになるって事は現役、もしくはOBでそこそこ権力ありそうなのが…もしかしたら、同じような事になってるのかな、ってね…当たり?」
ちょっぴり得意気な顔をして、むつもハンバーガーの包み紙を取るとぱくっとかじりついた。




