3話
「違う‼何か、妖怪の仕業だ」
「断言出来るのは何故ですか?」
「それは…とにかく、お前はこの手紙から俺の身体が動かない原因を探って何とかしたら良いんだ」
むつは、手紙を折り畳み封筒に入れると箱に戻した。
「手紙以外の手掛かりは?」
「ない」
「なら、無理ですね。他の方と同じようになってください」
むつが他の方、を強調して言うと沼井はびくっと肩を震わせた。それをむつと晃も見逃しはしなかった。
「お話は以上ですね、わたしはこれで失礼します」
頭を下げる事もなく、むつが出ていこうとすると沼井がベッドから出て追おうとして床に倒れた。
むつと晃はそれを見ていただけで、起こそうともしなかった。男だけが、箱を落として沼井に近寄りベッドに戻そうとしている。だが、それを沼井が振りほどいた。
「待て、他の方と言ったな…他にも見たのか?そいつらの依頼は引き受けたのか?」
ズボンのポケットに親指をかけて、立っていたむつを、沼井が痩せて目だけが目立つ顔で見ていた。
「他のやつらは、どうなる?死んだのか?俺も死ぬのか?」
床に座っている沼井は、ぎょろぎょろとした目で、むつを睨んでいるがむつは何とも思っていないようだった。何も答えず、冷ややかな笑みを浮かべて沼井を見下ろしているだけだった。
「くそっ‼金か?金なら他のやつらよりも出す、幾らだ?言え」




