表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐鬼  作者: 中村淳
第4章 『黒鬼討伐』
92/113

第4章 30話 『演説』

8月6日午前6時45分

龍平達は、基地の集会所と呼ばれる所に彼らは来ていた。


「眠たいな…」


「うん…」


龍平を除く四人が頷いた。

彼らが早い時間にここに来ているのには訳があった。

彼らの服装が問題だった。


「何で、制服で来ねぇと行けねぇんだよ…」


以前、博士から支給された隊服を着て彼らはここに来ていた。

色は、赤とオレンジを基調しており、上半身はコートの様な物を着ていた。

下半身は、男は長ズボン、女はロングスカートだった。

コートの中に一枚シャツを着ており、そのシャツも清水遥からの支給品だった。

隊服は全て鬼鉱石を糸にしたものを編み込んでいるので、かなりの防御力の高さがあった。


「緊張してきたよ龍平君」


隣で座っていた雪村が話しかけてきた。

相変わらずの胡散臭い笑顔だが、流すことにした。


「無視しないでよ」


「朝からうるせぇ野郎だな…」


「早苗ちゃん達の方がテンション高いと思うよ」


そう言って彼は、早苗の方に指を指した。

早苗と櫻子とあゆなは、スマホで自撮りしていた。

龍平は櫻子の方に歩いていった。


「お前ら何やってんの?」


「暇潰しだよ。だってあと、五時間ぐらいこの状態が続くらしいからさ」


すると、別の方向から声が聞こえた。


「そんなに時間はかからないですよ」


声が聞こえた方に振り向くと、一人の少女が立っていた。

艶やかな黒い髪に肩の少し上くらいのセミロングをしている、可愛らしい少女だった。


「あなたは誰ですか?」


「私は、死んだ天原涼音の妹。天原美鈴です。

順位は5位です。宜しくお願いします」


「宜しくお願いします」


五人揃って挨拶をした。

天原美鈴とはその後、雪鬼村での事を話したり、試験の事を話したりしていた。


「そうですか…」


「ごめんなさい…俺が弱かったせいで…」


龍平は雪鬼村での事で二つの心残りがあった。

一つは天原涼音を死なせてしまったことと。

もう一つは中条彰が何故、あんな事をしたのか。

それは、考えても考えても、答えが出てくることはなかった。


「そんなに落ちこまないでください…それに姉は…生きていますよ…」


後半の方は何を言っているのか、よく分からなかったので聞き返した。


「どうゆうことですか?」


「何となくそんな気がするんですよ」


「そう…ですか…」


「それでは、私はこれで失礼します。明日からの討伐、頑張りましょうね」


そう言って彼女は、その場を後にした。




それから三時間…

現在、午前10時。


「あ~あ、暇だね」


「本当にな」


龍平達は、集会所の床に寝そべっていた。

床は少々汚かったが、櫻子の能力でホコリやごみを飛ばしてもらってから彼らは床に寝そべっていた。

すると、壇上の方に一人の男が立っていた。


「そろそろかな」


そう言って、彼らは立ち上がった。

既に、集会所には100人程の人間が集まっていた。

辺りを見回していると、壇上に上がった男がマイクを握って話し出した。


『皆さん、長らくお待たせいたしました』


会場に男の声が響き渡った。

男は、髪型はまるで野球部を象徴しているかのようにボウズ頭をしており、顔立ちはかなり整っていた。


『私は、9位を務めさせてもらっている。

西原司と申します。よろしくお願いします』


彼は頭を下げ、挨拶をした。


『少し長くなりますが、私のお話しをお聞きください』


そう言うと、彼はマイクを放り投げ、話し始めた。


「みんな!、今この場にあるものは何だと思う?」


突然、そう聞かれた。

頑張って辺りを見渡したが、特にこれといったものはなかった。


「それは…100の怒りと憎しみだ!」


そう彼は叫んだ。


「俺たちは、今まで理不尽に奪われてきた。

親友、恋人、家族…きっとこの中のどれかを奪われた者が多いだろう…」


男は息を吸い、声を荒げた。


「許せないよな…理不尽に奪われ、傷つけられ…許せるわけないよな!、だから、俺は黒鬼討伐隊に入った!、きっと…そう言う者もいるだろう」


会場にいる全員の表情が固くなった。

それは、龍平達も同じだった。


「俺たちの怒り…悲しみ…憎しみ…その全てを奴らにぶつけろ!、いいか…あまりこう言ったことを言うのは人間として許されることではないが、言わせてもらおう…奴らは人としての一線を越えた…だったら俺たちも、その線を越え…奴らを皆殺しにするぞ!」


西原が右腕を上げると、周りもそれに合わせ腕を上げた。


「さぁ行こう!、奴らを今回の討伐をもって根絶やしにするぞ!」


「おぉぉぉぉぉぉう!」


そして、西原の演説は終わった。

その後、作戦の最終確認と配置を聞いた。

作戦と言っても、それは簡単なものだった。


敵は殺せ


それだけだった。

その日は基地に泊まった。


翌朝…

8月7日午前7時

龍平達は、基地の近くの駐車場に置いてある車に乗り、黒鬼達がやって来る港まで向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ