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復讐鬼  作者: 中村淳
第4章 『黒鬼討伐』
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第4章 28話 『無意味な会議』

7月26日午前11時30分…

この日は、基地の会議室で数名が集まり会議をしていた。


「それでは、只今より次の黒鬼討伐についての会議を始めます」


司会を務めているのは、第9位の男だった。

この場には、1位から10位までがいるべきなのだが、3位と5位と7位と8位がいなかった。


「それではぁ~、早速ぅ~、当日の動きを決めますかぁ~」


普段と変わらない口調で彼女は話し始めたが、9位の男が途中で口を挟んだ。


「そうしたいのは山々ですが、まずはこの場に四人も人がいないのはどうゆうことですか?」


「そんなの知りませんよぉ~」


「それは、僕が説明するよ」


すると、清水遥の隣に座っていた赤城隼人が説明を始めた。


「まず、3位と7位がいないのは君も理由はわかってるでしょ?」


「はい…、天原さんは十師団に殺されましたからね」


「3位は、ちょっと頭が可笑しいからね」


その事に、清水遥は笑いを堪えきれず笑ってしまった。


「その二人はしょうがないにしても、あとの二人はどこに行ったんですか?」


今度は、清水遥が答えた。


「5位は、今度の討伐に参加する新人に会ってくると言ってましたねぇ~」


「8位は?」


「体調不良で欠席だそうですよぉ~」


その事に、9位は溜め息をついた。

十人中四人もおらず、参加している六人の内の一人は寝ている。

この状況に頭を痛めた。


「いい加減起きてください、吉野さん」


会議室の机に突っ伏して寝ている吉野裕介に9位は声を掛けたが、返答はなかった。


「もういいです…」


9位は諦め、自分の席に着いた。


「それではぁ~この中のぉ~誰が参加するかぁ~決めないといけませんねぇ~」


「それは、僕が決めてきたよ」


赤城隼人は、持ってきていたパソコンを開き、全員に見えるようにモニターに映した。


「まず、参加する上位陣だけど、2位、4位、5位、8位、9位、10位にするよ」


「それは、構いませんが…何故1位である清水博士の名前がないのですか?」


「めんどくさいからでぇ~す」


持ってきていたポールペンを指で回しながら答えた。


それに…悪巧みするなら動かない方がいいんですよねぇ~


一瞬だけ、邪悪な笑みを浮かべたが、その事に誰も気付くことはなかった。


「わかりました。もういいです」


付け加えることがあると赤城隼人が言い、その内容を聞き、今回の会議は終わりとなった。

最後に清水遥は隣にいる赤城隼人にこんな耳打ちをした。


「無意味な会議ですよねぇ~」


すると、赤城隼人はうっすらと笑みを浮かべ。


「そうだね…」





「暇だね」


「本当にな」


そう呟いたのは、雪村だった。

博士に詳細を説明するから待ってろと言われてから、かれこれ二時間程経った。

この日、龍平のチームは博士に呼ばれ、討伐の説明を聞きに来たのだが、一向に来る気配はない。

帰りたいのだが、内容が内容なので帰るに帰られなかった。

仕方ないので、もう少し待つことにした。

すると、研究室のドアが開く音が聴こえ、外から博士が入ってきた。


「お待たせしてすいません…めんどくさい会議があったんですよぉ~」


龍平達は、早いとこ説明に入ってもらうことにした。

そこで、博士は詳細について話し始めた。


「それでは、始めますねぇ~」


「お願いします」


「まず、今回黒鬼が殺そうとしているのはぁ~こちらの人ですねぇ~」


すると、モニターにある人物の写真が現れた。

その人物は男性で少し年老いた老人だった。

顔はかなり穏やかそうな人だった。


「この人は?」


「この人はぁ~遠藤五郎という人なんですよぉ~。貿易会社の社長でぇ~今でもぉ~働いてる大したジジイですよ」


「この人と討伐日の関係は何なんですか?」


「このジジイはぁ~、あまり日本にいることが少ないんですよぉ~。それでぇ~、8月7日はこの港で大きなパーティをするんですよぉ~」


今度は、港の場所と名前が映し出された。

その港は、周りに色々な工場があり、かなり複雑な造りだった。


「つまり、このお爺さんを黒鬼が殺そうとしているから止めると同時に殺すって訳ですか?」


龍平は彼女にそう聞いたが、彼女の答えは以外だった。


「はっきり言いますねぇ~別に私はぁ~このジジイが死のうが生きようが興味ないんですよねぇ~」


「は?」


言っている意味が分からないので、思わず出てしまった。

彼女は言葉の続きを話した。


「だってぇ~黒鬼さえ始末できればぁ~龍平君やぁ~早苗ちゃんみたいな被害者をなくすことができますからねぇ~」


彼女には彼女なりの正義があるらしい。

少ない犠牲で多くのものを救う。

確かに、それが一番効率的でいいのかもしれない。

けれど、龍平の考えは違っていた。


救えるものなら救いたい…


櫻子の両親を救えなかった時、せめて次は救おうと彼は誓ったのだ。


「そう…ですか…」


その後、彼らがどこで動くかの説明を受け終わった。

龍平に大きなモヤモヤを残して、今日は終わった。

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