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復讐鬼  作者: 中村淳
第4章 『黒鬼討伐』
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第4章 27話 『日程』

龍平達が旅行から帰って来た翌日、龍平と櫻子とあゆなは博士に呼ばれた。


「一体何なんだろうね?、私たちを呼んだ理由」


「ろくな話じゃない気がする…」


「確かに…」


博士のいる研究室に向かう途中の廊下で彼らは並んで歩いていた。

あゆなの体調不良は既に無くなっており、元気になっていた。


「まぁ、とりあえず行くしかねぇな」


「そうだね…」


そのまま彼らは研究室に入った。



研究室に入ると、彼女はパソコンで作業をしていた。

何かの報告書の様な物を作成していた。


「おはようございまぁ~す。旅行は楽しかったですかぁ~?」


パソコンでの作業を終えてから彼女はこちらに挨拶をしてきた。


「おはようございます。二人はわかんないですけど俺は楽しかったですよ」


龍平は、旅行での出来事を思い返していた。

仲間と共にトランプをしたり、お寺を見たりと、かなり楽しかった。


「私も、楽しかったです!」


「私も…途中で体調崩しちゃったけど」


あゆなは笑いながらそう答えた。

その事に博士も少し笑った。

普段はよく分からない人だが、笑うとかなり可愛らしい。


「さてと、それではぁ~本題にぃ~入りますねぇ~」


そして彼女は、話しを始めた。


「皆さんにぃ~、いいプレゼントを用意しましたよぉ~」


そう言うと、彼女は机の上にあるものを置いた。

それは、二つ置かれておりどちらも見たら直ぐに分かるものだった。


「これって…」


「はい…、龍平君とぉ~櫻子ちゃんの武器ですよぉ~」


机の上には、鞘に入った日本刀と、弓と矢が置かれていた。

龍平の方は、以前と殆んど変わっている気配はなかった。


「これ…新しい武器ですか?」


沈黙を破り、龍平は博士に質問した。


「そうですよぉ~、龍平君の刀にはぁ~以前の刀とは比べ物にならないほどの新機能を搭載してますよぉ~」


試しに持ってみると、その通りだった。

以前の刀より軽く、振りやすかった。

そして、一番違うのは。

憎悪の量が一瞬にして倍増したことだった。

つまり、この武器は。


「前の刀より、鬼の力を出しやすくしてるってことですよね?」


「そうですよぉ~」


その後、櫻子とあゆなに席を外してもらい新機能の説明と使い方を聞いた。

正直、幾つかは不要なものもあるような気がしたが気にしないことにした。




博士の説明が終わり、あゆなと櫻子は部屋に戻ってきた。

あゆなの武器は少し特殊で、完成にもう少しかかるらしい。

雪村と早苗は翌日に渡すらしい。


「最後にぃ~、櫻子ちゃんの武器の説明ですねぇ~」


机の上に置かれていた弓と十本の矢の説明が始まった。

龍平とあゆなは席を外そうとしたが、龍平は櫻子と博士に止められたので、可哀想だが、あゆなだけ廊下で待っていてもらうことにした。


「それじゃあ~、始めますねぇ~」


この後、鬼鉱石の含まれている量や、弓の使い方など、基本的なことを話し出した。


「一つ、言っておきますねぇ~。この矢は櫻子ちゃんしか使えませんよぉ~」


「何でですか?」


櫻子は疑問に思い、聞いてみた。

しかし、龍平はこの武器を見たときから答えは分かっていた。


「龍平君に任せますねぇ~」


変な所でバトンを渡され、渋々彼が答えることにした。


「鬼鉱石ってのは、普通の人じゃ重すぎて持てないんだよ。で、櫻子の能力は多分だけど、風を操るものだと思うから、付近の風を操って矢を敵に放つんだよ」


「なるほど!」


今ので、完璧に理解したかは分からないが、一応納得してくれたらしい。

その後、櫻子の弓と矢の機能を説明された。

それが、終わってからあゆなは研究室に戻ってきた。


「で、そろそろ本当の理由を聞かせてくださいよ」


龍平は、彼女の説明が終わったのを見計らい、彼女が彼らを呼んだ理由を聞いた。


「気付いてましたかぁ~」


「はい…、武器の説明だけだったら。わざわざ五人全員を呼ばなくていいですからね」


すると、研究室の入り口から雪村と早苗が姿を現した。

雪村と早苗が来ることは、早苗から連絡を貰っていたので知っていた。


「それでは五人揃ったことですしぃ~、本題に入りますねぇ~」


龍平達は、研究室の椅子に腰を掛け話しを聞く準備をした。


「次の黒鬼討伐日が決まりましたよぉ~」


龍平と雪村以外の女子三人の表情はかなりの緊張を感じているものだった。

龍平の表情は、待ち望んでいた者に辿り着ける喜びと、憎い相手を殺せる喜びがあった。

雪村はかなりの笑顔だった。


「いつですか?」


「8月7日…黒鬼は必ず現れますよぉ~」


詳細は後日報告されるらしい。

高まる殺意を抑えながら、龍平は帰宅した。



昨夜…

あるマンションの屋上に彼女は立っていた。

強風が吹き付ける屋上で彼女は凛としていた。


「はぁ…、めんどくさいけどそろそろ動かないとね」


片方の手にナイフを持ち、上野瀬菜はそう呟いた。

龍平との闘いから彼女は人前に姿を現さなくなった。


「さてと、そろそろ来るはずだけど…」


すると、階段から一人の男が姿を現した。


「お待たせ瀬菜、ごめんね待たせた?」


「そんなにだから、気にしないで」


男は瀬菜の方へと歩いていった。

男の顔は、暗くてよく見えない。


「ねぇ、………は、本当によかったの?、私のとこに来て」


名前の所は強風が吹き付け、よくは聞き取れなかった。

男はこう答えた。


「俺は、あの日大地と約束したから…瀬菜を守るって」


「それだけのために、私のところに来てくれたの?」


「親友との約束は守るよ、それに俺も大地に会いたいからさ」


男の決意は固かった。

そして、瀬菜は男に白い狐のお面を渡した。


「これからは、これを着けて動くよ」


『了解』


既に、男はお面を着けていた。

瀬菜もお面を着け、移動しようとしたその時、空から四人の男が現れた。


「上野瀬名、貴様を逮捕する」


以前、現れた公安の一員だった。

前の時とは違い、今回はかなりの強者だった。


『はぁ…めんどくさいな』


ナイフを構え、闘おうとした時。


『俺がやるよ…』


そう言って、男は前に出た。

瀬菜はナイフをおろし、マンションの屋上から姿を消した。


「仲間に見捨てられたな」


『無駄口叩いてる暇はないよ』


男は懐からあるものを取り出した。


『瀬菜を傷付けようとするなら、遠慮なく殺せる』


翌日の朝、マンションの屋上に四つの死体が放置されていた。

四つとも身体の中に血液が一滴も残っていなかった。

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