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復讐鬼  作者: 中村淳
第4章 『黒鬼討伐』
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第4章 19話 『チーム結成』

櫻子が、黒鬼討伐隊に入ることを決めてから数秒後、まるでこうなることが分かっていたかのように清水遥は笑顔で部屋に入ってきた。


「それで、どうなりましたかぁ~?」


「入るそうです」


いちいち彼女のリアクションに反応していては身が持たないことを彼はこの数ヶ月で学んだ。


「了解でぇ~す。これからよろしくお願いしますね、櫻子ちゃん」


「よろしく…お願いします」


軽く一礼をした。

そのあと、現在の状況などを簡潔に説明した。

話し終えてから、暫くして清水遥が口を開いた。


「ところでぇ~、龍平君も気になっているであろう討伐隊への参加についてお話ししますねぇ~」


その事を聞いたとき、彼は驚いた。

最近色々な事があり、すっかり気分は討伐隊の気分だったが、試験に合格していなければ闘いにいけないことを彼は忘れていた。


「俺は…どうなんですか?」


数秒間の沈黙の後、彼女は口を開いた。

少し邪悪な笑みを浮かべながら、何かを値踏みするような目付きで。


「合格ですよ」


たったのそれだけだった。

さっきまでの沈黙は恐らく無駄だったと思われる。

更に彼女は話しを続けた。


「そもそもぉ~、『赤鬼』の人は試験受けなくていいんですよぉ~」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」


あの試験の意味は何だったのだろうか。

あれほど死ぬ思いをしたというのに実は試験を受けなくてもよい。

龍平は少しだけ怒りを覚えた。


「じゃあ、何で俺らに受けさせたんですか?」


彼女なら何か意味があってのことだと思い彼は聞いてみた。

しかし、その予想は裏切られてしまう。


「面白そうだからですかねぇ~、あと単純に能力がどんな感じなのか見たかっただけですから」


以上が彼女の答えだった。

彼女らしすぎて怒りは既に消え去った。


「もういいです…」


「つまり、櫻子ちゃんも参加出来ますよ」


「そ、そうなんですね…」


すると、部屋の扉を勢いよく開く音がした。

外から三人部屋に入ってきた。

櫻子にとっては初対面だが、龍平からすると飽きるほど顔を見ている三人だった。


「今晩は、龍平君大丈夫かい?」


「ちょっと雪村!、アンタは黙っときなさいよ」


「龍平、大丈夫?」


雪村進一、水本早苗、中条あゆなの三人がお見舞いに来てくれた。

が、相変わらずうるさい。

寝不足でボロボロの人間にこのノリは勘弁してほしい。


「何しに来たんだよ?」


「龍平君が怪我したって聞いたからお見舞いに来たんだよ」


お見舞いに来てくれたのはありがたいが、正直今はやめてほしい。


「これ仕組んだの博士ですよね?」


あまりにタイミングが良すぎるので、博士の関与を疑った。

そしてその予想は当たっていた。


「はい、そうですよぉ~皆さんに提案がありましたからねぇ~」


「それで、その提案って何ですか?」


早く休みたいので、龍平は早く聞くことにした。

雪村を除いた女子二人は櫻子が横になっているベッドに腰をかけていた。


「それじゃ発表しますねぇ~、まず龍平君、君は櫻子ちゃんが自分の手が届かない場所で闘ってほしいですか?」


「それは嫌です、櫻子を護りたいですから」


それに続いて櫻子も口を開いた。


「私も、闘うなら龍平が側にいてほしいです」


少し照れながら彼女はそう言った。

聞いていた周りも少しだけ顔を赤くしていた。


「ですよねぇ~、それで提案なんですが、龍平君と櫻子ちゃんと雪村君と早苗ちゃんとあゆなちゃんの五人でチームを組んでみてはいかがですかぁ~?」


急な提案だった。

確かに、入隊してからこのメンツと関わることが多かった。

あながちありかもしれない。


「俺はいいけど、皆は?」


まず最初に、水本早苗が答えてくれた。


「私はいいけど、雪村がいるのは嫌!」


「まさかの拒絶か、酷いな早苗ちゃん。僕もチームを組むのは賛成だよ」


「私も、龍平がいるなら賛成!」


進一と早苗、あゆなは賛成してくれたようだ。

残りは櫻子だけだった。


「私も、賛成だよ!、でも私足手まといだよね」


「そんなことねぇよ。このチームで一番の足手まといは雪村だからな」


「酷いな龍平君」


「待って待って、何で雪村入れてるの?、こんなやついらないよ」


「確かに、雪村はいらねぇと思うが雪村の無駄に高い戦闘能力は欲しいからな」


こうして、雪村の加入を早苗は渋々受け入れることにした。


「それじゃあ、私はもう帰りますねぇ~」


そのまま、博士は外に出ていった。


「なぁ雪村、喉渇いたからジュース買いにいかないか?」


「うん、いいよ」


そして、彼らも部屋を後にした。




「それで、僕に何の用があるの?」


自販機に向かう途中、雪村がこう聞いてきた。

基地の廊下は時間のせいか少し薄暗かった。


「何のことだ?」


「とぼけないでよ、話しでもないと僕を誘ったりしないでしょ?」


どうやら、既にバレていたらしい。

だが、そんな事はどうでもいい。

コイツには聞いておきたいことがある。


「お前…何が目的だ?」


「何のこと?」


「チームに入ったことだ。お前の目的は何だ?」


この瞬間、辺り一帯に濃い殺気が放たれた。

龍平と雪村、お互いが同時に放った物だ。


「早苗ちゃんがいたからだよ」


彼は笑顔でそう答えた。


「まぁいい、櫻子に手を出したら殺すからな…」


龍平が言っておきたい事はこの事だった。

正直、龍平も雪村の事はあまり入れたくはなかった。

だが、奴の戦闘能力が高いのは利用しない手はない。


「龍平君に、僕は殺せないよ」


「はぁ…、確かにそうか…も」


続きを言おうとしたが、突然背後から刀が迫ってきた。

ほんの一瞬だった。

龍平が彼への警戒を解いていなかったら防ぐことは出来なかったかもしれない。


「何するんだよ」


「龍平君が僕を殺せないことの証明だよ」


「そうか…よ!」


龍平は左手で雪村の腕を掴みこちら側に引き寄せ、頭突きを喰らわせた。


「痛いなぁ」


「これで、俺はお前を殺せるな」


負けじと、雪村もこちらに間合いを詰めてきた。


今ここで殺してやる。


龍平の意志は脅威の排除に固まった。

流石に、この狭い廊下では闘い辛いので、近くの訓練場へ向かった。


『死神』と『神殺し』の闘いが始まろうとしていた。

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