第1章 7話 『終結』
何回、俺は奴にこの拳をぶちこんでいるのか最早分からなくなってしまった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…」
何回も何回も何回も何回も殴っている。
それでも奴は倒れない。
『ふぅー、もう気は済んだかな?、僕はね一応復讐したい人にチャンスをあげるんだよね、こうして何回も殴られ続けてるのがその証、さてとそろそろ反撃しようかな。殴られるのも飽きたし…』
そして『黒鬼』は間合いを詰めてきた。
先程のように刀を振りかざしてきたので、避けるとその刀を返して黒崎龍平の肉体にダメージを与えた。
「痛っ!、痛ってぇな刀とか反則だろ…」
息が切れている。そろそろ限界だった。
何発か決まっているはずの拳のダメージがまるでない。
『1つ良いことを教えてあげるよ…、鬼の力を使っている人間は個人差はあるけど傷の治りが速いんだよ、それに龍平君は鬼の武器を使っていないからダメージをあまり与えられないんだよ』
だからか…、奴にダメージを与えられない理由が判明した。だが、自分には『鬼の武器』はない。
色々と思案していると、『黒鬼』が動き始めた。
『そろそろ終わりにしてあげるよ』
そう言うと、刀を振り斬撃を放った。
それを避けきれず、幾つか足に喰らってしまった。
『その足だと、横には避けきれないね、さて終わりだ』
そして刀を振りかざした。
黒崎龍平は自分の死を感じた。ここで終わりか…
そう思ってしまったが、気がつくと振りかざされる刀に向かって殴りかかっていた。
『無駄なことだ、死ね…』
そして刀と衝突した。だが、黒崎龍平の拳は刀を抑え、そして、
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
刀を折った…、折れた刃を掴み『黒鬼』の肉体を斬りつけた。
その時、『黒鬼』は驚きと感動を覚えた。
鬼鉱石で出来た刀を折るなんてね、凄いな…、彼なら出来るかもしれない、僕が成し遂げたかったことを、
この世界を救ってくれるかもしれないな…
そして『黒鬼』は斬られた。
そのまま、止めを決めようとしたが…
頭上から謎の二人組が表れた。
格好は『黒鬼』と同じなのだが、背丈も違い何より刀を持っていない。
『そこまでだ…、これ以上黒鬼様を傷つけるなら私がお前を殺す…』
とてつもない殺気と共にその言葉を発した。
『まぁいいじゃないですか…、黒鬼様はちゃんと生きてるし~、さっさと帰りましょ』
もう一人の人物がそう言った。
『そうだな…、黒鬼様ここは身を引きましょう。
奴らも来ていますから』
『そうだね、ここまでにしようかな…、黒崎龍平君また会おう…』
そして彼らは飛び上がり近くの建物の屋上へと跳んだ。
「待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…!」
その叫びは届かず黒鬼には逃げられてしまった。
だが、その叫びが空から舞い降りた別の集団を呼び寄せた。