第1章 6話 『力』
意識が戻ると、そこには刀を持った人物が立っていた。
『やぁ、見た感じだと『鬼化』が済んだみたいだね、いやぁ~嬉しいよ、まさかこんなところで仲間が増えるなんてね』
そしてその人物は手を差し出した。
『僕はみんなから『黒鬼』と呼ばれている、よろしくね』
「そうか…、黒鬼か…、良かったよ…、殺す奴の名前が分かって…、俺の名前は黒崎龍平!、お前が殺した葵の無念ここでお前を殺して晴らしてやる!」
一歩足を踏み込んだ。するとコンクリの地面に足跡を残し、それに加え人間では考えられない程の距離を跳んだ。そして黒鬼の顔に自分の拳をぶちこんだ。
「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
そして黒鬼は信じられないほどぶっ飛んだ。
壁に激突し、その壁にはヒビが入りそのままめり込んだ。
『ごほっ、ごほっ、痛ったいなぁ~、それにしてもここまでの力、もしかして君は『赤鬼』かな?
もしそうなら、今ここで殺さないとな…』
その口調から、軽さが消え『黒鬼』としての本性が表れた。
『さて、少しばかり遊んであげるよ…、君が僕のことを殺すか、僕が君を殺すか…、今なら僕らの仲間に入れてあげるけど…』
それを遮って、
「仲間になんか入るか!、お前は今ここで!、息の根を止めてやる!」
言い終わると黒鬼の元に走り出した。先程の様に自分の拳をぶちこもうとしたが…
『遊びは終わりだよ…黒崎龍平…、残念だよ…』
そして黒鬼は持っていた刀を振りかざし龍平へとその刃を向けた。
『安らかに死ね…』
刃が当たった瞬間、黒鬼は自分が勝ったと思った。だが現実は違った刃が当たる瞬間、龍平は自分の体を捻り刃をかわし、そしてそのまま黒鬼の 腹に拳を当てていた。
「安らかに死ねだと…、死ぬのはお前だ!」
そして闘いは終結へと向かっていく…