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復讐鬼  作者: 中村淳
第4章 『黒鬼討伐』
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第4章 4話 『悪女の夜』

龍平と櫻子が寝静まった頃、白い狐のお面を被った少女は追われていた。

夜の町、既に人はおらず辺りも少し暗かった。


『はぁ…めんどくさいな』


かれこれ三十分程彼女は追いかけられていた。

最初は黒鬼の手下かと思っていたが、それは違っていた。師団と比べれば動きに少し無駄があり殺そうと思えば直ぐに殺せたのだが、相手が六人では少々不利なのだ。


『う~ん、もういいや…適当なところを見つけてそこで殺そうかな』


彼女は、無人のビルを闘いの場にすることにした。

十五階建てのビルの四階の所の窓ガラスを割り、中へと侵入した。

途中、六人の集団は三手に別れた。

上の階に二人、下の階に二人、そして自分の所に二人だ。


『なるほどね…賢いのかな?』


少し感心していると二人の内の一人が話しかけてきた。


「上野瀬菜だな?」


『違いまぁ~す。ただの一般市民です』


「貴様には逮捕状が出ている…大人しくお縄につけ。最悪の場合は殺しても構わないとの許可も降りている」


どうやら既に身元がバレていたらしい。

それと彼らが拘束するつもりもなく殺すつもりだということも。


『死にたくないので相手しますよ対鬼化制圧部隊の公安の皆さんのね…』


「私達が公安の者だと知ってのことか?」


『御託はいいからさっさと来てよ…めんどくさいからさ』


言い終えると二人ともこちらに向かって走り出した。

彼女の首もとまであと三歩程だったが突然彼らの動きは止まってしまった。

彼らの両足は麻痺したかのように動かなくなっていた。


「どうゆうことだ?」


『貴女方は私の身元は知ってるのに能力のことは知らなかったんですね』


「貴様の能力は身体能力を強化するものの筈だ」


自分達の身に起こっていることに彼らは理解出来ていなかった。


『なるほど中条様のお陰ね…まぁいいや、おじさん達バイバイ…』


手に持っていたナイフで彼らの首の頸動脈をかっさばき彼女は彼らを殺した。


『さてと…あと四人始末しないとね』


そのまま階段に向かおうとしたが、それは叶わなかった。


『その必要はありませんよ…だって僕らが既に殺しておきましたから』


彼女は声のした方に顔を向けるとそこには血に染まった大鎌を持つ黒い人影があった。


『師団の人か…本当にめんどくさいな』


すると、下の階から血に染まった刀を持ったもう一つの人影が姿を現した。


『今晩は、さーてと黒鬼様の命令で貴方を捕まえに来ました』


『うらら…余計な事を言わずにさっさと捕まえるよ』


そう言うと彼らは自分を捕まえる為に動き始めた。


『やれやれ…<鬼よ、致死性の猛毒を放て>』


彼女は床に手を当てそう言った。

すると彼女の手から紫色の霧が発生した。

その霧は直ぐ様部屋を覆い尽くした。


『関係ない民間人まで殺すつもりですか?』


大鎌を持った人物は口に手を当てていた。


『貴女達が退いてくれるのなら死人は出ないよ…』


その言葉を聞き終えると彼らは姿を消した。

その時、上野瀬菜は自分自身を完全な悪女だとそう思った。

彼らの気配が無くなったのを確認し、彼女は能力を解除した。


『大地の為なら何人でも殺す…』


そう言い残し彼女はその場を後にした。

翌日の朝、このビルで身元不明の変死体が六つ発見されニュースになったが次の日には放送されなくなっていた。



7月4日

寝不足気味の状態を確認し黒崎龍平は目を覚ました。

あのあと、長々寝れず彼が眠れたのは二時間だけだった。

今日学校が終わったら布団を買いに行かないと自分の身がもたないことを実感した。


「ふぁ~~わ、おはよう龍平…」


そんなことを思っていると、可愛らしい表情をした河村櫻子が起きてきた。

まだ少し眠そうな顔をしていた。


「おはよう櫻子、髪の毛ボサボサだぞ」


その言葉に反応し、彼女はそのまま洗面所へと向かっていった。

洗面所から戻ってくると何時も通りの髪になっていた。

そのまま朝食を食べ、学校に向かうことにした。

数週間ぶりの学校に少し胸が躍るが寝不足なので少ししんどい…


「はぁ…龍平にまさかあんなボサボサの髪見られるなんて…」


バスに乗る前から彼女はこの事ばかりを呟いているのだ。

ボサボサの髪より、寝ていた時の方が印象的だったが言わないことにした。


「気にすんなよ…お前はボサボサでも可愛いからさ」


精一杯のフォローのつもりだったがあまり効果はなかった。


「そうじゃなくてさ、好きな人にあんな所を見られたくなかったの!」


顔を紅くしながら彼女はそう叫んだ。

それ以降この話が出てくることはなかった。

そのまま彼らは学校へ向かった。

この後に起こる騒動のことを彼らはまだ知らなかった。

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