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復讐鬼  作者: 中村淳
第3章 『黒鬼討伐隊選抜試験』
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第3章 20話 『救出』

黒崎龍平が昔話を聞いている頃…

村の近くの山辺りを歩いてる四人の集団がいた。


「ここら辺でそろそろ作戦会議をしよう」


そう言い出したのは赤城隼人だった。

ヘリコプターを近くの山に停め、歩くこと二時間。そろそろ作戦を立てておくべきだ。


「赤城さん…さっきの奴がいってましたけど、中条彰の部下が沢山この辺りいるらしいですけどどうするんですか?」


そう聞いたのは、血で染まった刀を握り締めている雪村進一だった。

先ほど彼らは中条彰の部下達に襲われたのだが、雪村進一が一人で二十人もの集団を皆殺しにしたのだ。


「それはあまり困らないよ…。さっきまで沢山発せられた波動を感じない…つまり既に大多数の奴らは何者かによって殺されてるよ。今はその殺してる奴の方が驚異だ」


真剣な顔つきをし、未だ見ぬ強敵を彼らは恐れていた。ここに来るまでに彼らは沢山の死体を見ていた。それらには全て外傷がなく。どうやって死んだのかが分からないのだ。


「赤城さん…清水博士は今どこに?」


この場の話し合いに参加していない清水遥の所在を水本早苗は少し気になっていた。


「分からない…でも、彼女が動いている時は大体良くない事が起こってるから極力関わりあいたくはないかな」


その言葉通り、清水遥には良くない事が起ころうとしていた。



雪の大地を歩いている二つの黒い影があった。

彼らは先ほどから、襲いかかってくる集団を幾つか潰していた。その数は覚えてはいないが恐らく五百人程殺したところだ。


『あのさ…うららも少しは闘ってよ』


先ほどの闘いの全てを自分一人に押し付けられその人物は少しだけ苛ついていた。


『だって、私が闘うと私の能力が直ぐにばれちゃうからさー。それと十師団の中で一番強い君が負けるはずないって信じてるからだよ!』


そんな下らない会話を繰り広げていると、二つの黒い影の歩みを止めようとする人物が目の前に立っていた。


「やっと見つけましたよぉ~、黒鬼十師団…」


ぼさぼさの髪にだらしない服装をしている清水遥がそこには立っていた。


『清水遥…貴方が何故ここに?』


すると彼女は笑った。

普段人前で見せている笑顔ではなく、狂気に満ちた笑顔だった。


「あなた方をぶっ殺すためですよぉ~。それに相手側が一番を送り込んでくるならこっちも最強を連れてこないと勝てませんからねぇ~」


『うらら…ここは俺に任せて君は早く任務を果たしてきて。清水遥とは俺が遊んどくから…」


その瞬間、信じられない程の殺気を放った。

近くにいた動物全てがその殺気に当てられ逃げ出した。


『了解でーす…』


うららと呼ばれた人物はその場を後にした。


『さてと…これで遠慮なく殺れるね』


「そうですねぇ~。それでは改めて名乗りますかね、黒鬼討伐隊所属博士号清水遥…因みに順位は1位ですからよろしくお願いしますねぇ~」


この場に最強対最強の闘いが始まろうとしていた。



いい案が思い浮かばず、彼らはそのまま乗り込むことにした。


「結局、作戦会議の意味なかったですね」


さっきまでの無駄な時間のことを水本早苗と天原凉音は少し悔やんでいた。

あの後、いい案が思い浮かばなかったので突撃することになったのだ。三人よれば文殊の知恵とは言うが三人どころか四人いても何の知恵も浮かばないのだからこのことわざは間違っているだろうな。そんな下らないことを考えていると。


「止まって…」


赤城隼人は小声で指示した。

そのまま建物に身を潜めた。

何故こんなことをしたのかの理由は直ぐに判明した。

村の近くの、恐らく神社の様な物が建てられているところの階段付近に百人程の中条彰の部下が徘徊していた。


「なるほど…龍平君はあそこにいるのかな」


神社らしき建物に視線を向けながら赤城隼人はそう溢した。

場所が分かったのはありがたいが今の状態だと近づくことが困難なのだ。

どうやって潜り込むかを考えていると、敵の一人が何かに気付き声を荒げた。

こちらに気づいたのかと慌てたが、違っていた。

その何かに向かって複数の人物が襲いかかった。

その動きは速かった、五人で一つのグループを三つほど作っておりそれらのグループは連携も出来ておりかなり強そうだったが。

彼らが挑んだ敵が悪かった…


『邪魔だーよ』


次の瞬間、襲いかかっていた彼らの首から上が無くなっていた。更に百人近い人間の首から上も無くなっていた。まるで刃物で綺麗に切断されたような殺され方だった。

直ぐ様、それを行った人物が判明した。

黒い鬼のお面を着けていた。

つまりは


「黒鬼十師団…しかもかなり位が高いな。恐らく四番らへんかな」


ただでさえ面倒な状況が余計に悪化してしまった。


『いい加減に出てきなーよ。折角こいつら殺してあげたんだからさー』


すると隠れていた建物が突如、切れ目が入り、そのままバラバラになった。


「バレてたのか…」


『バレバレだよー!。本来なら君達も殺さないといけないけど黒鬼様からそんな命令されてないから別にいいけどー、でーも赤城隼人…貴方は殺しまーす』


そのことを言われると赤城隼人は…


「みんな先に行って…こいつは僕の相手だから…」


彼らは反論せず、そのまま階段の方へと向かった。反論しなかった理由を後々聞くと彼らはこう答えた。

怖かったから…


『天原さんは残っといた方がいいと思うよー』


すると、二十人程の集団がこちらに走ってきていた。恐らくは中条彰の部下だろう。

仕方ないので天原凉音は残ることにし彼らを殺すことにした。


「それじゃ、早苗ちゃん…雪村くん…生きて帰ってきてね」


「天原さんも…」


雪村進一と水本早苗は勢いよく階段を登っていった。

すると突然、自分の肩に雪が舞い落ちてきた。

そのことに気づくと彼らは空を見上げた。

先ほどまで晴れていた空の真上を鼠色の雲が覆っていた。

それが『儀式』の終わりを意味していた。

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