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復讐鬼  作者: 中村淳
第3章 『黒鬼討伐隊選抜試験』
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第3章 19話 『昔話』

中条彰はこの村の昔話を語り始めた。

今から約千年ほど前の日本に遡る…

当時は雪鬼村とは呼ばれてはおらず別の名前で呼ばれていたらしい。

当時の村は異常的な暑さをしており、作物も育たず村は滅びかけていた。

このままではよくないと思い村の長老は行動を開始した。


「その時の長老は『始まりの鬼』に頼ったんだ」


中条彰は聞き慣れない単語を発した。


「『始まりの鬼』って何だ?」


すると以外な答えが返ってきた。


「かつて、この日本を支配していたとされる5体の鬼のことだ。こいつらは俺たちの能力の由来でもある」


初めて聞いたことだった。

かつての日本は鬼のことについて自分たちより詳しかったのだろう。

しかし、何故鬼のことが継承されなかったのかが不思議だが話が進まなくなるので後にした。


「それで続きは?」


そこから中条彰は話を再開した。

村の長老は都にまで行き、一体の『始まりの鬼』と会った。


「鬼様、どうかそのお力で私達の村をお救いくだされ」


そのまま長老は頭を地にあて願い事を聞き入れてもらえるようにした。


『頭をあげよ、お主の願い叶えてやる…その代わりそちの村から一人若い娘を生け贄にさせてもらおう』


長老はその条件を受け入れ、『始まりの鬼』と共に村へと戻った。



長老が『始まりの鬼』と戻ると早速、彼らは生け贄に相応しい者を探し始めた。

そして選ばれたのが、中条家の娘だった。

何故、中条家が選ばれたのかは今でも謎のままだった。

中条家には二人の娘がいた。選ばれたのは妹の方だった。


「父上、私は…死にとうありません」


妹は抗議した。自分には子供もおり、死ぬわけにはいかなかった。


「この村のためだ…赦せ」


妹はそのまま地下牢へとつれられてしまった。

妹は涙を流した。

死にたくない…

それだけをずっと考えていた。

そのまま時は流れ、遂に彼女は村のために死ぬことになってしまった。

方法は簡単だった。『始まりの鬼』の血を飲むだけ、そしたら人としては生きられなくなるのだ。

妹の前に、血が注がれた器が置かれた。

妹は自分の死を覚悟し飲もうとしたが。


「待って!私が飲みます…」


そこには姉が立っていた。


「姉上…駄目ですよ!」


「約束したでしょ?貴方を守るって…」


幼少の頃、姉と交わした約束だった。

そのまま姉は周りの静止を聞かず、鬼の血を飲んだ。

これが、『雪鬼』の誕生だった…

それは誰にも予測出来なかった…

本来なら村を潤すために水を操る能力になる筈だった。

彼女が血を飲み干した瞬間…

村の周りに少しずつ少しずつ雪が積もり始めた。

そして村のためだ周りに突如、吹雪が襲いかかった。

この事は誰も予期してはいなかった。


『みんな!殺してやる!』


血を飲み、彼女は力に耐えきれず暴走した。

逃げ惑う人々に氷柱を放ち、殺していった。

村の壊滅も時間の問題かと思われたが、妹は諦めなかった。

暴走している姉に単身で挑んだ、しかし彼女もまた氷柱に刺された。それで姉は正気を取り戻したが既に遅かった。


「姉上…大丈夫ですか?」


「大丈夫だけど…駄目ですよ貴方が…」


「姉上…私を殺したことを申し訳ないと思うなら私とある約束をしてください…」


その約束を言い終え妹は命を落とした。

そして姉は妹の血を引く子供の心の内部に入り、そのまま姿を消した。

その時、どのような約束が交わされたのかはいまだに解明されてはいない。



「これが昔話の終わりだ…」


中条彰は自分の村の昔話は語り終えそう言った。

しかし、聞いていても所々疑問がある。


「お前らの昔話は分かったけど、何で執拗に『雪鬼』を狙うんだ?」


一番の疑問はそこだった。

何故、村人を全員殺してまで雪鬼を欲したのかが分からない。


「それはな…『雪鬼』には『始まりの鬼』と同等の力があるとされているからだ。『始まりの鬼』は一体で国を滅ぼせる程の力があった…けど遥昔に封印されちまった」


「そんなことのために…人を殺したのか?」


激しい怒りと殺意が込み上げてきた。

そんなあやふやな昔話のせいで大勢の人を中条彰は殺したのだ。


「さぁな?、さてともう少ししたら『儀式』だ。

あゆの中にいる『雪鬼』を引っ張り出してやる」


つまりは中条あゆなの中から『雪鬼』を引っこ抜くらしい。

しかし、黒崎龍平はこの後。

この考えが間違っていたことに後悔する…



話を終え、中条彰はその場を後にした。

することがないので寝ようかと思っていたところ、中条あゆなが目の前に立ち尽くしたままだった。


「どうした?あゆな」


「龍平…さっきさ後継者の話を彰兄さんしてなかったから私がします」


そう言えば後継者については何も聞かされてはいなかった。


「後継者は中条家の血が流れている人なら誰にでも可能性はあるの。この村の人達には全員中条の血が流れていたから、兄さんは全員に聞いたんだと思う…」


彼女の話を聞き、自分の中で何かが引っ掛かった。今まで聞いてきたことを振り返ってみると彼はその疑問に気づいた。

そして、その疑問がもし想像しうる答えだとすれば中条彰は人ではなく。

悪魔だ…

もし、そうだったなら…

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