第1章 4話 『憎悪』
黒崎龍平15歳、身長169㎝髪型は平凡な男子を象徴しているような普通の髪型をしている少年にとってその光景は自分の人生において見ることはないであろうと思っていた。その光景を見たとき
まず彼が始めたのが現実逃避だった。
え、え、え、え、え、え、え、何これ?
何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ?
何かの撮影?、ドッキリ?、それにしてもよく出来てるな、特に血のところがリアル過ぎるなぁ~
そして彼女から流れている血に触れてしまった。
生暖かい…、人の血とは生暖かいものなんだとこの時、彼は初めて知ったのだ。
その血の感触を認識し、彼はようやくこの現実に向き合うことにしたのだ。
「葵!」
そう叫びながら走り出した。すぐに彼女の体の近くに行った。
その時、彼はその人物、坂本葵に刀を刺している人物と急接近をした。
「おい!、おまえ!、何で葵にその黒い気味の悪い刀を刺してんだよ!、さっさと抜け!」
今までの人生で発したことのないほどの声が、怒りが込み上げた。
『へぇ~彼女、葵って言うんだ。ふーん知らなかったよ』
まるでこちら側のことに、関心のない気の抜けた声だった。
すぐさま刀を抜き、救急車を呼ぼうとした。
「何でだよ!?、何でこんな町中なのに圏外なんだよ!」
彼の携帯の表示には圏外と出ていた。
「ごふっ、ごふっ、はぁ…はぁ…はぁ…、龍…平…だい…じょうぶ?」
かなり弱々しい声で彼女は声を発した。
「葵!、大丈夫か!?、待ってろすぐに病院に連れていくからな!」
急いで彼女をおんぶして連れようとしたが、
『無駄だよ、彼女はもう助からないよ、鬼の武器で刺したから…』
その人物は冷たい声で、坂本葵の死を告げた。
その人物は身長185㎝程のある長身の人間だった。全身を黒の法衣を着ていて、顔の部分には黒色の鬼らしきお面をつけていた。それから声も変声機を使っているのか、男か女かも分からなかった。
「黙れよ!、人殺し!、今なら病院に連れていけば間に合うかもしれない!」
『やめときなよ、その出血量だと逆に動かしたら出血多量で死ぬし、そもそも僕の作ったこの空間から出られないから彼女の死は決まってるんだよ、おとなしく彼女の最後の言葉聞いといたら?
僕は止めないから』
その人物は冷静だった。
この場にいる誰よりも落ち着いていた。
「とにかく、早く病院に!」
その忠告を無視しようとした時…
突然、坂本葵が手を掴んできた。自分がもたれかかってる壁から少し離れたところから彼女は力強く手を掴んだ。
「ねぇ…、龍平…、最後に聞いてほしいことが…あるの…」
「そんなもん、いくらでも聞いてやる!、早く病院に…」
「聞いて…、龍平…、お願い…」
これが最後の彼女の願いだった。
「龍平…、君のことを…」
続きを言う前に彼女は、漆黒の刀により命を奪われてしまった。
彼女の体温から、少しずつ少しずつ生きていた頃の体温がなくなっていった。
それと同時に大量の出血だ。
そのまま命を落としてしまった。
「やめろ!、死ぬな!、死んでんじゃねぇぞ、
葵ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…」
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
彼女の死が引き金となり、俺は奴との遭遇を果たす。そして俺の闘いが始まる。