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復讐鬼  作者: 中村淳
第3章 『黒鬼討伐隊選抜試験』
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第3章 11話 『ペアとの交流』

翌日の朝、黒崎龍平と河村櫻子はお互いに寝不足の顔をしていた。


「おはよう…」


「おはよう龍平…今から朝御飯作るね」


寝グセがついたままの髪で彼女はキッチンに向かった。

起きたときに彼女の柔らかい感触が背中にあったのであのままの状態で寝ていたらしい。

それなのに寝不足なのは恐らくあの夢を見たからだ。

とても嫌な夢だ…

櫻子が寝不足なのは分からないけど。

朝食を食べ、朝の準備を終え、彼らは学校に行くことにした。



放課後…

黒崎龍平は基地にいた。

理由は試験のペアとの交流をするためだ。

とはいえここの施設は広く、見慣れないところを歩いていたため彼は道に迷っていた。


「最悪だな…」


仕方ないので来た道を戻ることにした。

その時、目の前から中条あゆなが歩いてきた。


「こんにちは…黒崎龍平君だよね?」


「そうだよ…中条あゆなだったよな。よろしくな…もしかしてさお前も道に迷ったのか?」


少し恥ずかしそうに顔を下に向けたので彼女も道に迷っていたらしい。


「とりあえず赤城さんに道を教えてもらうか…」


すると彼女の表情は少し暗くなった。

まるで何かを憎んでいる眼をしていた。


「どうしたんだ?」


「赤城隼人は清水遥と繋がってるから信用出来ない…私はあの博士が嫌いだから」


その時の彼女の表情は今まで見てきた女子の表情の中でも群を抜いて怖いものだと感じた。


「何かあったのか?」


「何でもないよ!さぁ始めようじゃないか!私たちの合格のための作戦会議を」


無理があるだろうけど応じることにした。

人にはそれぞれの事情があるのだから深くは追及しないことにした。

近くのファミレスに行くことになったので出口を約一時間かけて探した。



中条あゆなと黒崎龍平は基地の近くにあるファミレスへと足を運んでいた。


「なぁ…中条の能力ってどんなやつ何だ?」


「私のはね…簡単に言うなら物を凍らせるもしくは凍らせた物を操る能力かな」


「なるほど…結構使い勝手が良さそうな能力だな」


物を凍らせる能力と聞いて少し違和感を感じたが気にしないことにした。

この世に名字が一緒の人間など沢山いるからな。


「今度はさ龍平の能力を教えてよ。あ…私、人の名前は大体下の方呼ぶからそのつもりで、龍平も中条じゃなくてあゆなでいいよ」


しょうがないのでここは彼女に合わせることにした。


「俺の能力は身体能力を極限まで高める能力かな。あゆなの能力と違って少し使い勝手は悪いかな」


少し嘘をついてしまった。

だが、これでいい。彼女とはこの試験の間だけのペアなのだから。


「私の能力も使い勝手よくないよ。使い過ぎると鬼に飲まれて暴走するかもだから」


さらっととんでもないことを言ったので聞き返した。


「暴走ってどうゆうこと?」


「私の鬼はちょっとやんちゃらしくてさ、使い過ぎると私の意志を無視してくるからさ。と言っても滅多にないけどね」


試験中に暴走は勘弁してほしいものだ。

そんなことを思っているとファミレスに着いた。

ファミレスでは二時間ほどお互いのことを話した。


「なぁ…あゆなはさ何で鬼化したんだ?」


これはファミレスに入ったときに最初に聞いたことだ。


「内緒かな…龍平だって鬼化した理由話さないでしょ?」


図星を突かれたので大人しくドリンクバーに行くことにした。

夕食を食べ終え、他愛ないことを話している途中。


「あゆな…お互いの能力がどんなもんか知るために少し闘ってみないか?」


この提案に彼女は快く快諾してくれた。

とは言え、時間がなかったので翌日に回した。

お互いに家は遠いのでファミレスで解散となった。



家に着くと、今日は灯りがついていなかった。

鍵を開け家の中に入ると、誰もそこにはいなかった。

これが普通の光景だが少し寂しいと思ってしまう。


「風呂入って寝るか…」


そのまま風呂に入り、寝る用意を済ませ寝ることにした。



翌日…

学校を終え、基地に向かうと中条あゆなが既に研究室の中にいた。

清水遥から研究室の訓練部屋を使っていいとの許可が降りたのでここで闘うことにした。

お互いのために今回は武器を使わないことにした。


「さてと…あゆな何時でも来いよ」


少し挑発じみたやり方をしていると。


「それじゃ行くから…

<氷の石像よ、我が意思に従え>」


すると中条あゆなの近くに三メートルはある氷の石像が現れた。その石像は人型で男の体つきだった。


「<我が鬼よ、我が身に宿れ>」


そのまま石像に向かって跳躍した。その勢いを利用し石像を破壊しようと拳を向けると。


「<彼の者を殴れ>」


中条あゆなは石像にそう指示をした。

石像はその指示に従うかのように黒崎龍平の拳に自身の拳をあてた。

黒崎龍平の計算では恐らく石像は壊せる。

そう思っていたが、現実は違っていた。

その石像は彼の想像よりも固く、石像を壊すどころか石像の腕にヒビを入れるのがやっとだった。


「マジかよ…」


そのことに素直に驚いていた。


「次はこっちから行くよ…

<石像よ、彼の者を切断しろ>」


その石像の手にはいつの間にか作られていた氷の剣が持たされており、その剣はこちらに向かっていた。


「殺す気かよ!」


間一髪それを避け、彼は抗議を始めた。


「安心して、刃はないから。当たっても精々骨が折れるだけだよ」


その事を笑顔で伝える彼女を恐ろしいと思ってしまった。

更に速く、彼女は石像を操ってきた。

もっと鬼の力を使わなくては勝てない…

そのようなことが最近多いのだ。

前より鬼の力が使いにくくなっているのだ。

供給される量も以前より少なくなっているのだ。

どうしてだ…

そう思っていると、目の前に氷の剣が入ってきた。


「え…これは避けられない…」


恐らく彼女も操るのを誤ってしまったのだろう。

今はそう信じたい。

だが、それどころではない。

目の前にある危機に思考が追いついていない…

あと2、3秒であれは頭蓋骨に直撃する。


しょうがねぇな…


また、どこからともなく声が聞こえた。

聞いたことのある鬼の声だ。

すると、供給される量が一気に増えたのでそれを拳に集め石像に放った。

石像は音を立てて崩壊していった。



石像が粉々になるのを見届けると流石に疲れたので今日はやめることにした。


「ごめん!、あのとき操作を誤って危うく龍平を死なせるところだった!」


「いいよ別に…」


そのまま基地から出て、解散した。

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