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復讐鬼  作者: 中村淳
第3章 『黒鬼討伐隊選抜試験』
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第3章 10話 『試験の説明』

河村櫻子達との勉強会を終え、河村櫻子と帰宅している途中。赤城隼人から連絡が来ていた。


「ごめん櫻子、今から基地に行かないといけなくなった」


少し残念そうな顔をしながらも櫻子は笑顔で見送ってくれた。

基地に着くと、赤城隼人が出迎えてくれた。


「今晩は龍平君、突然の呼び出しですまないね」


「それは別に構いませんよ。それで重要な話ってなんですか?」


すると、清水遥が口を挟んできた。


「黒鬼討伐隊選抜試験のことですよぉ~」


突然入ってきたので少し驚いたが、話しを続けることにした。


「それって一体どうゆうことですか?」


「その事を話すために呼んだんですよ~さてと…君には今から訓練場に向かっていただきますよぉ~」


言われるがままに訓練場と呼ばれる大広間へと向かっていた。

そこはとても広くサッカーのコートが四つぐらい入る程の広さだった。

既に何人かが集まっており、一人一人から強い鬼の波動を感じた。

そのあと、何人かが追加で加わり黒崎龍平を入れて百人になったところで清水遥が話しを始めた。


『みなさぁ~ん今晩は、今日集まってもらったのは~皆さんに試験を受けてもらうためでぇ~す』


こんな時でも彼女の喋り方は変わらないらしい。

その事に感服していると彼女は続きを話しだした。


『皆さん、資格をゲット出来て良かったですねぇ~さてと前置きはこのぐらいにしておいて試験の説明をしますねぇ~』


『試験は一週間後に行います。』


そこに赤城隼人が入ってきた。


『何で邪魔するんですかぁ~?』


『君に任せてたら進まないからね。それにこうゆうこと苦手でしょ?』


そう言われると彼女は黙りそのまま赤城隼人は続けた。


『話しを戻します。試験は一週後にこの基地のある場所で行います。場所はその日のお楽しみで、試験の内容は二人一組で試験官を倒すこと。君たちの合格条件を教えるね。まず試験官を降参させること、次に試験官を気絶させること。但し試験官を殺したら失格だよ、その時は僕らがその人を殺しちゃうから注意するように。最後にペアのことだけど、ペアはこちらで決めた人と組んでもらうからそのつもりで今日発表される人もいるし、明日発表される人もいるから今日発表されたら少し有利かもね。話しはこれで終了だよ』


分かりやすく、簡潔に話が終わったのであとはペアの確認だけだと思っていると清水遥が話し始めた。


『ここで一つ捕捉説明ですよぉ~、試験官と受験生には武器を持つのを禁じますねぇ~。お互いにぃ~殺しあいされると迷惑なのでぇ~試験にはちゃんと殺傷能力のない安全な物を渡すのでそれを使ってくぅ~だぁ~さい』


それで本当に試験の説明は終わった。

最後にペアの発表だけだったが個別で発表するらしいので呼ばれるまで待機していた。

数分後…

清水遥に呼ばれ、黒崎龍平は研究室に向かった。

研究室に入ると、赤城隼人と清水遥そしてもう一人見知らぬ少女がいた。


「待たせたね龍平君、この子が君のペアの中条あゆなちゃんだよ」


そう言われ、黒崎龍平は中条あゆなの方を向いた。

その少女の顔立ちは整っており、とてもかわいらしい顔立ちだった。髪型は髪を一つに丸めており団子みたいだった。身長は黒崎龍平より少し低いぐらいだった。


「初めまして…黒崎龍平です」


「初めまして…中条あゆなです」


少しよそよそしいがペアとの初対面を終えた。


「さてと…これから二人で試験を乗り越えてもらうよ。因みにお互いの質問を減らすために1つ教えておくよ。二人とも同い年の高校1年生だよ」


赤城隼人は気を遣ってくれた。

どこかの博士もこんな風に遣ってくれたらありがたいのだが…

夜も遅いとのことで続きは翌日に持ち越された。

最後に連絡先を交換し、家に帰ることにした。



家に帰ると、灯りがついていた。

音を立てず玄関の扉を開けると、そこには見慣れた靴が置かれていた。

扉を閉め、ゆっくり歩き見慣れた靴の持ち主の所に向かった。

その持ち主はキッチンで料理を作っていた。

煮込む音がしたので恐らくカレーだ。

スパイスの効いた良い匂いがするがそれを堪えてその持ち主を驚かせることにした。


「おい…そこで何をしている?」


声を何時もより低めに出し、背中にものさしをあて何かを当てている感じを出すことに成功した。


「貴方は…誰?」


櫻子は少し震えていた。


「こちらの質問に答えろ…なぜここにいる…振り向いたらその瞬間に殺すからな…」


笑いを堪えるのに少し必死になりながらもそう聞いた。


「カレーを作っているの…好きな人のために。これでいいのかな?龍平」


どうやら既にバレていたらしい。観念してものさしを筆箱に入れ、椅子に座った。


「何で分かったの?」


カレーを煮込んでいる彼女に聞いてみた。


「付き合いが長いからねすぐに分かったよ」


こちらからは分からないけど恐らく笑っていると思う。

しばらく煮込んでから器に入れ、食べることにした。


「どう…美味しいかな?」


「美味しいよ…すっごく美味しい…」


「でしょでしょ…こんなにも料理が出来て可愛い幼なじみを放っておいていいのかな?」


少し悲しげな表情をしながらこちらに向かってきた。


「櫻子…黒鬼とのことが一段落したらさ、櫻子とのこと前向きに考えてみるからさ…それまで待っててほしい」


自分は随分酷なことを頼んでいるのかもしれない。そんなことを思いながらも彼女に頼んだ。


「いいよ…その代わり絶対に死なないでね…約束だから」


「分かったよ…」


そのあとカレーのおかわりをもらった。



カレーを食べ終え、風呂に入り寝る用意をしていた。

河村櫻子は泊まると言ってきたので渋々泊めることにした。

夜遅くに家に返す方が危険だから。

そう自分に言い聞かせながら歯を磨いていた。

歯を磨き終え、部屋に向かうと髪を乾かしている彼女がいた。


「女は大変だな…」


黙ったままは気まずいので話しを振った。


「本当にそうだよ!、こうゆうときに龍平とかが羨ましいよ」


「そうだな…」


その後、彼女も寝る用意を済ませ。いよいよ寝ようとしていた時にその問題は襲ってきた。


「どこで寝る?」


黒崎龍平の家には布団が1つしかなかったのだ。

理由は彼以外にこの家に住んでいる者がいないから。


「龍平と一緒にこの布団で寝るよ…」


顔を赤くしながら彼女はそう言った。

反論しても彼女はこの意見を曲げないと思い、渋々同じ布団に入った。

電気を消し、黒崎龍平の家は暗闇に包まれた。

同じ布団に二人の男女、しかも高校生。

普通なら一つや二つ過ちが起きていてもしょうがないが今のところは過ちが起きる気配はなかった。


「…寝れないね」


と彼女は呟いた。

お互い、顔を見ないように左右反対の方を見ながら布団に入っていた。


「そうだな…そう言えばさ…今日さ…」


そのまま今日あった試験のことを話した。

すると彼女は少し不機嫌そうになった。


「龍平…そのさ中条あゆなって子はさ可愛いの?」


「結構可愛いよ…」


言ってから気づいた。が既に時は遅かった。


「そうなんだぁ~ふ~ん、私よりも?」


熟年の夫婦の会話かよ!

黒崎龍平は心の中でそう叫んだ。


「櫻子の方かな…」


そう言うと彼女は少し機嫌をよくした。

すると彼女は抱きついてきた。


「…えっ!ちょ…どうした?」


事態の急展開に頭がついていかなかった。

柔らかい感触が背中に当たるのを感じながら必死に理性を保った。


「このぐらいじゃ落ちないか…」


残念そうな顔をしていた。


「お前…ズルい女だな…」


そのまま彼女の手に自身の手を回した。


「ありがとな…」


それだけを伝え彼は眠りに落ちた。



またあの夢を見なければならない…

それが堪らなく嫌で怖い…

あれが自分の犯した罪の罰なら素直に受け入れよう…


誰のものか分からない何かが黒崎龍平の頭を支配した。


どうかこれが夢でありますように…


誰かに祈りを捧げた。

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