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復讐鬼  作者: 中村淳
第3章 『黒鬼討伐隊選抜試験』
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第3章 8話 『敗北』

午前5時45分、上野瀬菜はベッドから起き上がった。


「はぁ…今日も学校か…昨日の疲れがあるから休もうかな…」


自身の身体の疲労を感じながら彼女は身支度を始めた。

身支度をしているとき、彼女は自分のお腹に手を当てた。


「命を宿してるってこんな感じなんだ…」


まだ、膨らんでいないお腹をさすりながら彼女は身支度を進めた。



午前6時30分、黒崎龍平は自宅に帰宅した。

この時間まで彼は病院で検査を受けていたのだ。

身体に何の悪影響もないのか、それと傷の治療。

一睡もしていないのにこの後、学校があるという恐怖を感じながら彼は身支度を始めた。

制服のボタンを止めているとき、玄関のチャイムの音が鳴った。


「はい…誰ですか?」


『私だよ…ちょっと入ってもいいかな?』


「いいよ…入って」


玄関のドアを開け、河村櫻子を家の中に入れた。

彼女は既に制服姿をしており、鞄も持っていたのでこのまま学校に向かうのだろう。


「どうしたんだ?」


「龍平…帰りが遅いから何かあったのかなって…思ったから…」


彼女は昨日のことで自分のことを心配していたのだ。


「任務でちょっとな…」


「そう…龍平、何で落ち込んでるの?」


「え…落ち込んで何かないけど…」


やはり女は怖いものだ。一瞬にして隠したかった所を丸裸にするこの能力が恐ろしい。


「見たら分かるよ…昨日何かあったんでしょ?

話してくれるまでここから動かないから…」


「分かったから…とりあえず部屋に上がれよ」


自分と櫻子の分のコップを持って部屋に向かった。


「それでさ…昨日何があったの?」


部屋に向かった直後彼女は早速本題に入ってきた。


「実はさ…俺、昨日ある奴と闘って敗けたんだよ。学校が襲われた時も何だかんだで勝てたけどさ、初めて敗けた…」


黒崎龍平が落ち込んでいるのは、もう少し別の部分だがそこは話さないことにした。


「なるほど…男の子的には辛いよね…因みに敗けたのは男?それとも女?」


「女…多分実力的には十師団クラスだと思う…」


「そうなんだ…まぁ気にするなよ!生きて帰って来たんだから」


「結局何しに来たの?」


疑問に思っていたことだ。彼女には昨日のことについて一切話していないのになぜ彼女は知っていたのか。それと彼女とは何かが違う…


「正体みせろよ…偽物…」


『バレちゃった…もう少し騙せたらよかったのになー』


すると、その人物は元々の姿を露にした。


その人物は黒い鬼のお面を着けており、服装は黒鬼に近かった。


「お前…何者?」


『私はー黒鬼十師団の三番を務めさせてもらっているうららちゃんでーす!』


変声機をつけているがそれが意味をなさない話し方をしている。

だが、そんなことはどうでもいい。

何故ここに来たのか…そして何も武器を持っていないのだ。


「何しに来たんだ?武器も持たずに…言っとくけど俺は素手でもそこそこは闘えるならな」


『そんなに警戒しないでよー私が武器を持ってない理由はさー櫻子ちゃんスタイルいいから武器なんかつけてたらスタイルがぶれるからすぐにバレちゃうって思ったから。でーも何でかなーすぐにバレた…』


こいつの目的は何なのか問い詰めようにも武器がない…

別の部屋に置いてきてしまった。


「櫻子は無事か?」


『無事だよー今はお家でぐっすり眠ってるよ。さてと私が君に会いに来た理由を教えてあげるよ』


黒鬼に俺を殺せと命じられて来たのだろうかと身構えていると。


『ねぇ黒崎龍平君…私たちと一緒に七人衆をぶっ潰さない?』


以外な提案だった。


「何で俺に頼むんだ…」


『昨日七人衆の女にボコボコにされたでしょ?だから仕返し何てどうかなーって思ってさ』


「ふざけるな…お前らと手を組むくらいなら死んだ方がマシだ!」


すると彼女の雰囲気が変わった。

『じゃあさ…今、この場で私が君を殺そうか?』


眼にも止まらぬ速さで彼女は黒崎龍平の首もとを掴んだ。


『素手でもそこそこ闘える…ふーんこれでか…

話しにならないよ。こんなんだから七人衆ごときにやられるんだよ』


そして手を離した。

圧倒的な力の差に彼は恐怖していた。

これが師団…始末屋や月影雅義とは違う…


『少しガッカリ…黒鬼様やルー君が期待してるからわざわざ会いに来たのになー』


「<我が鬼よ、我が身に宿れ>」


そして自慢の拳を彼女の背中にぶちこんだ。

だが…


『不意討ちしてこれか…まぁ…少し重いパンチだね』


こちらを見ることなく、彼女は片手で攻撃を防いだのだ。


『君はさ…昨日敗北したって言ってたよね…鬼の世界だと敗けたら死だよ…君は運がいいね…私は殺す気はないからさ今はだけどね』


そのまま彼女は立ち去ろうとしたが、急に足を止めた。


『ねぇーねぇー何で櫻子ちゃんじゃないって分かったの?』


「あいつは…チャイムを押さない…勝手に入ってくるよ」


『常識のない子だねーそれじゃバーイ』


そのまま玄関から外に消えた。



午前7時12分、とある神社にて。


『黒鬼様、交渉役がうららでよろしかったのですか?』


大鎌を持った、二番の人物はそう聞いた。


『さぁね…恐らくは失敗したと思うよ。でもそれでいい…彼には危機感を持ってもらいたい。

このままだと計画が水の泡だからね』


黒鬼はそう答えた。


『ただいま戻りました!』


うららと呼ばれた人物が神社に降り立った。


『お帰りうらら…怪我はないかい?』


『はい!黒鬼様、交渉に失敗してしまい申し訳ありません』


二番の人物が口を挟んだ。


『お前が成功するとは黒鬼様も私も思っていない』


『酷いなー私なりに頑張ったのに…黒鬼様褒めてくださいー』


『うららはよく頑張ったよ…さてと賛成派を見つけたから殺しに行くよ…』


その言葉を合図にし、彼らは神社から姿を消した。



午前7時32分、黒崎龍平と河村櫻子はバスに乗っていた。

十師団の1人が帰ったあと、すぐに櫻子は家にやって来た。

そのまま学校に向かうためバス亭に向かいバスに乗ったのだ。


「龍平…朝大丈夫だった?」


他の乗客に迷惑がかからないように河村櫻子は小声で話しだした。


「大丈夫だったよ…まさか七人衆の次は十師団が来るとはね。もう最悪だよ…」


朝の出来事や七人衆についてはざっくりと説明していた。


「龍平…さっきからさ思ってたんだけどさ…言っていい?」


真剣な眼差しでこちらを見つめている。


「どうかしたの?」


「このバスはさ満員だからしょうがないとは思うんだけどさ、幼なじみのお尻に手を回すのは止めてほしい」


どうやら自分の右手がいつの間にか櫻子のお尻に当たっていたらしい。


「ご…ごめん」


直ぐ様、手をどけた。

すると櫻子は少し笑った。


「やっぱり…龍平は面白いね…」


「そうか?」


そんなことをしていると目的の所にバスが着いたので降りることにした。


「さてと…行くよ!」


櫻子は校門に向かって走り出した。


「疲れてるから勘弁してくれよ…」


黒崎龍平も櫻子を追いかけるように走り出した。



教室に着くと、既に人気者になった櫻子は朝からクラスメイトに話しかけられていた。

黒崎龍平は疲れていたので睡眠をとることにした。


「おはよう龍平君!」


しかし、眠気覚ましに上野瀬菜が話しかけてきたので寝ることは出来なかった。


「おはよう」


そこに、河村櫻子も加わってきた。


「おはよう瀬菜ちゃん!」


「おはよう櫻子ちゃん!」


相変わらず朝から明るい。寝かしてほしいのに…

チャイムが鳴り、授業が始まった。

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