第1章 3話 『3月9日午後』
卒業式も無事に終わり、彼は家に着くとニュースを見ていた。普段はニュースを見ない彼だがこの日のニュースは熱心に見ていた。すると、インターホンの鳴る音がした。玄関を開けると、
身長145㎝の河村櫻子が姿を表した。普段はおろしている髪をツインテールにしていた。彼女は普通に黒い髪をしていたので先生に目をつけられることはなかったのだ。
「やぁ龍平、上がってもいいかい?」
どうぞ、そう言って部屋の中に招いた。
少しそわそわしていたので多分告白の話しをするのだと思った。その予想は的中していた。
「それでさ龍平、告白するときの言葉は考えてるのかな?」
「シンプルに言うよ」
すると彼女は少し不満そうな顔をした。
「まぁいいや、そろそろ時間だし先に行ってるね、仲良くね!」
それだけ言って彼女は家から出ていった。
しばらくしてから、坂本葵が家にやって来た。
そして俺たちは打ち上げのあるファミレスに向かった。
しばらくしてから、俺と葵は話しを始めた。
「ねぇ龍平、ニュースのさ内閣総理大臣を殺した人たちってさ何で殺したんだろうね?」
「分かんないよ、本当に謎だらけだ、そもそもどうやって殺したのか?、大勢の人を相手にしてそれを全員殺すとかありえないでしょ」
少し過剰に反応してしまった。
だが、それほど今回の事件は恐るべきことなのだ。大勢の政治家や警察官が殺された。それは日本の未来の危機とも言えるのだから…
しばらく重い空気が流れていると、
「はい!、こんな重い話しは止めよ、明るい話しをしよう!」
持ち前の明るさでこの空気を入れ換えた。
「そうだな!、ってかさここどこ?」
そう言うと、俺は周りの建物を指差した。
「なぁ葵、お前に道案内頼んだのに何でこうなってるのかな?」
「ごめんなさい、地図を読み間違えちゃった」
手を合わせて下目遣い、これでは太刀打ちできまい。
反則技だろ…
仕方ないので俺たちは来た道を辿ってもとの場所に向かった。
しばらくすると、俺は重大なことに気づいてしまった。
「ヤバイ!、財布忘れた!」
やってしまった。普通財布忘れるとかありえないだろ!、と思いつつもやってしまった。
「どうする?、取りに戻るのついていこうか?」
「いや大丈夫、ここからなら歩いて5分程だろうし、先に行ってみんなに言っといて」
「分かった!、あとさここのコンビニを曲がると裏路地があるでしょそこを通ると近道だからそこを通るようにね」
と手に握ったスマホの地図を見ながら教えてくれた。
「ありがとうな!、じゃあ行ってくる!」
「いってらっしゃい、先に行くね」
これが彼女との最後の会話になってしまった。
数分後…
無事に財布を取り、コンビニの近くの裏路地まで歩きそこから歩いていた。ここの裏路地は何回か曲がらないといけなかった、しかも横幅がだいぶ広く何かしらのスポーツのミニゲームが出来る程だ。それと少し入り乱れていて迷いそうだった。
しばらく歩いて、最後の曲がり角を曲がると、
その光景は広がっていた…
全身が黒で覆われていた謎の人物が手に持っている漆黒の刀が彼女の坂本葵の胸を貫いていた。