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復讐鬼  作者: 中村淳
第3章 『黒鬼討伐隊選抜試験』
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第3章 3話 『七人衆』

七人衆、そう表記されている資料を黒崎龍平は読んでいた。

七人衆…国を陰から支える為に約五百年前に創設

された組織。数は七人だけという少人数

だが、一人一人の力は侮れない。

一人の力で戦車一台と闘えるほどだ。

彼らは国を守るために人を殺す。

過去の最高の例は数年前に起こったある

一族の反乱だ。その一族の頭は鬼の力を

使い国を滅ぼそうとしたがそれを七人衆

がくい止めた。

その時の民間人の犠牲者は軽く千人を越

えた。

その時の闘いのことが書いてある資料を読み進めていると、ドアが開いた音がしたので振り向くとそこには水本早苗が入口の近くに立っていた。


「久しぶり…怪我は大丈夫?」


元気のなさそうな口調でそう聞いてきた。


「もう大丈夫だよ…そうゆう水本は…大丈夫か?

精神的に…」


彼女は精神的にかなり落ち込んでいるのだ。

それはあの日の事件に遡る…

黒崎龍平が自分のクラスの教室に向かった後、

月影雅義が水本早苗と志村の前に現れ水本を捕まえようとした。

水本は月影雅義に抵抗した。だが、月影雅義の力は強く全く歯がたたなかった。連れ去られようとした時、志村が水本のことを助けようとしたのだ。志村がなぜこの時助けようとしたのかは謎のままだ。しかし彼は月影雅義によって無惨に殺されたのだ。

そのことのせいで水本早苗は精神的に落ち込んでいるのだ。


「大丈夫よ…私は弱い女じゃないから」


胸を張ってそう言いきった。

やっぱり女は強いな…

そんなことを思っていると、突然水本は急接近し机を叩いた。


「…どうした?」


新手のドッキリなのか分からず呆然としていると彼女は話し始めた。


「ところでさ…河村さんとはあの後どうなったの?」


「…は?」


水本早苗の目はキラキラしていた。恐らく自分の目は丸くなっていただろうけど。


「河村さんの告白の返事なんて言ったの?」


こうゆう所をみると水本もやっぱり女子何だなと思ってしまう。


「何でお前が聞くの?、関係ないだろ…」


抵抗してみたが、この手の話題は抵抗しても無駄なことを黒崎龍平は知らなかった。


「だってさ…人の告白の場面とか初めてだったからさ、少し興奮しちゃったからさ」


意味の分からない答えに黒崎龍平は困った。


「とりあえず、何も聞くな…」


強引にでも話しを終わらせたかったが、水本は鬱陶しいぐらい粘り、約一時間程帰してはくれなかった。



家に帰る途中、黒崎龍平は考えていた。

何故、自分が狙われているのか。

今回の事件は表向きは黒月組の月影雅義が黒鬼の為に自分のことを殺しにきたという迷惑な事件だが、実際は国家権力が自分を殺そうとしたのだ。

恐らく付近の警察署を潰したのも彼らなのだろう。

そんなことを考えていると、街中から悲鳴があがった。

すぐさま悲鳴があがった所に向かって走り出した。そこには、何かで腹部を刺されて倒れている数名の大人達がいた。


「何があったんですか?」


倒れている男性にそう問いかけた。


「フードを被った…男が…突然…」


そこで男性の意識が途絶えた。

急いで救急車を呼び、他の人にも話しを聞いた。


「ナイフみたいなもので刺してきたの」


刺されていた大人の中で軽傷ですんでいた女性に話しを聞いた。


「他には?、何故そんなことをしたのか」


「それは分からない、あまりに突然のことだったから…でもその男は去り際にこんなこと言ってたの。あの人の力は凄いな俺みたいな雑魚でも強くなれるってね一体なんなのかしらね…」


そのことを聞いて少し驚いた。

恐らく犯人は鬼化した人間。

そしてその犯人の能力を強化した謎の人物…

正直、犯行をした男などどうでもいいのだ。

今、危険なのは鬼の能力を強化した人間の方なのだ。

この事をすぐに清水博士に連絡した。


「…と言うわけなんですよ」


事件のあらましを説明し終え、清水遥の反応を待っていると。


『なるほどねぇ~、確かにぃ~龍平君の言う通り鬼の能力を強化した方が危険ですねぇ~』


「そうですね、とりあえず犯人を俺たちで捕まえますか?、警察はあてにならないし」


『言いますねぇ~、同意見ですけど…とりあえず何の役にもたたない赤城隼人を見回りにしますねぇ~』


そうして電話を終え、家に帰った。



家に帰ると、灯りがついていた。

ドアノブを捻り玄関に入ると、女物の靴がそこには置いていた。


「おかえりなさい」


リビングに向かうと制服の上にエプロンをつけた河村櫻子が料理をしていた。


「ただいま…なにしてんの?」


「野菜炒めを作ってるの、ちゃんと龍平の分もあるから」


「そうじゃなくて何で俺んちで作ってんの?!」


普通なら家にいることの方が驚くだろうが黒崎龍平にとってはこれが日常なのだ。

朝、目が覚めると坂本葵が自分の部屋にいることがあったり家に帰ると、坂本葵と河村櫻子がいたりといったことが多いので慣れていた。


「家のコンロが壊れちゃってさ」


「嘘をつくな!」


しぶしぶ野菜炒めが出来上がるまで待つことにした。

しばらくすると、リビングの机の上に野菜炒めが豪快に置かれ、その近くにご飯と味噌汁が置かれていた。


「出来たよ!さぁ食べよう!」


そのまま、食べようとした河村櫻子を彼は止めた。


「待て!さっきも聞いたけど何で俺んちで野菜炒め作ってんの?」


「そこは普通さ、何で家にいんの!って言わないと…」


正論で返されてしまった。

確かにそうだが…


「なれてるからそこはいいけどさ…」


「龍平と一緒にご飯食べたかったのと、龍平に私の特技見せたかったからかな」


満面の笑みでそう言われてはもう何も言えない。

自分の中の驚きを抑えながら黒崎龍平は野菜炒めを食べ始めた。


「美味しいかな?」


恐る恐る河村櫻子は聞いてきた。


「美味しいよ。葵が作った黒焦げのハンバーグよりも」


「それと比較しないでよ」


少し頬を膨らませながらそう言った。

食事を終え、食器を洗っていると。


「ねぇ龍平…あのときのさ返事…聞きにきたんだよね今日は…」


薄々感じていたがまさか今日とは思わなかった。


「ごめんな櫻子…今は…黒鬼を殺すこと以外何も…」


「そっか…」


彼女もその答えが来るのが分かっていたらしい。

その後、櫻子を家に送った。


どうして俺を好きでいてくれるのか?


そのことだけが頭の中を埋め尽くしていた。

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