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復讐鬼  作者: 中村淳
第3章 『黒鬼討伐隊選抜試験』
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第3章 2話 『二つの集まり』

その日の晩、上野瀬菜は中条彰と共にとあるビルの中に入っていた。

そのビルは数年前までどこぞの企業が使っていたビルらしいが今ではその面影もなくすっかりすたびれてしまっていた。

そのビルの地下に続く階段を下り、上野瀬菜と中条彰はその集まりが開催されている場所に赴いた。

そこにはボロっちい机と椅子だけがあった。

すると、5人の人影が姿を表した。


「遅いぞ中条…」


鋭い目付きと重みのある声をしている男は中条のことを睨みながらそう言った。


「許してください…上野の準備を待ってました。

これでも女ですからね」


少し余計なことを加えられたが流すことにした。


「まぁいい…いまから我ら七人衆の会議を始める」


そして七人衆と呼ばれた組織の会議は始まった。


「まず、最初に月影雅義のことだが…」


そのあとはあの日の事件の詳細について語っていた。


「以上だ…さてと中条、貴様我らに報告があるらしいな」


話題がやっと自分のことになり中条は少し興奮しながら席を立ち話始めた。


「はい…皆さまがお探ししていた『雪鬼』を遂に見つけました」


その言葉を発すると上野瀬菜を除く5人の人影が騒ぎ始めた。


「それは本当か…もしそうなら…」


その男が言おうとしていたことを中条が引き継いだ。


「はい…もしそうなら我らの悲願は叶うのです」


「そうだな…それで『雪鬼』の後継者は誰なのだ?」


そう言われると彼はある資料を配った。


「この資料に記載されている通りです…」


「貴様…どういうことだ!」


突然、男は声を荒げた。


「中条…雪鬼村の人間は皆殺しにしたとあのとき聞いたが…なぜ生き残りがいる!」


中条は冷静に答えた。


「これはすいません…ですが、私にとってもこれは考えてもいなかったことですから」


「もういい…ところで上野…黒崎龍平に発信器を付けたのは本当か?」


今度は自分の方に来たので、少し苛立ちを滲ませながら答えた。


「はい…つけました」


「なら…もうよい。これにて会議を終える…」


そして七人衆の会議は終わった。



その同時刻…

黒崎龍平は吉野裕介に呼ばれ、基地に来ていた。


「久し振りだね龍平君…」


変わらず、穏やかな口調だった。


「こんばんは、吉野さん…今回呼んだ理由は?」


早速本題に入ることにした。


「龍平君…黒月組に君の居所を流した連中が分かったんだよ」


そのことはずっと気になっていた。


「誰なんですか?」


「七人衆って言う、国を陰で支えている連中だよ。彼らは国からある権限を与えられているからね」


「その権限とは?」


すると彼は少し間をあけ、こう答えた。


「人を殺す権限だよ…」


「え…どうゆうことですか?」


驚きのあまり言葉が出なかった。

国がそのような権限を出していいはずがないそう思った。だが、現実はあまりにも残酷だった。


「七人衆は、この国を守るために結成された組織だからだ。国を守るためなら人を殺す…それが彼らのやり方だ…」


「それが…何で俺のところに来るんですか?」


「それは皆目検討もつかない…君は恐らく国が恐れている何かがあるんだよ…」


その言葉は深く重く突き刺さった。


「吉野さん…七人衆は敵なんですか?」


「分からない…実際に彼らは黒月組の支援をしていたらしいからね。動機は分からないけど…

とにかく七人衆についてまとめた資料を置いてあるから読んでおいてほしい。すまないが今から仕事が入ってて…」


そう言って吉野裕介はその場を後にした。



その頃…

研究室のところに置いてあるパソコンに清水遥は向き合っていた。


「ふむふむ、なるほどぉ~ねぇ~」


そこには日本列島があり、幾つかの府県に印がつけられていた。


「どうしたんだい?」


その近くには、コーヒーカップを片手に持ち、コーヒーを飲んでいる赤城隼人がいた。


「赤城さん、もしかしたら私たちが探している能力者の居所分かったかもしれませんよぉ~」


相変わらずの癖の強い話し方をしながら彼女はそう言った。


「それはどこだい?」


「ここですねぇ~」


そのまま指を指した。日本列島のある場所に向かって。

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