第2章 19話 『殺意』
その場所はとても綺麗な場所だった。
まるで、透き通る水の中にたっているような感じだった。
一歩歩くと波紋が広がっていく、どこまでもどこまでも…
すると、目の前に黒い人影があった。
人影は話しかけてきた。
ねぇ…何であんな奴に勝てないの?
勝とうとしてる…
嘘だね君からは憎悪が見えない…君は弱いね…
じゃあどうすればいいんだよ…
昔の君を思い出せばいいんだよ…君が忘れているもう一人の自分を…
何の話しだよ…
忘れてないよね…君が人殺しってことをさ…
そして人影は泡となり消えていった。
それからすぐに黒い靄が現れた。
『よぉ…龍平…』
「久しぶりだな鬼…」
『お前は…一体何者だ?』
「どうゆうことだ?」
『お前のさっきのあれは…、いや…やっぱり何でもない…』
「お前ら二人して俺の気分を悪くするなよ」
『済まねぇな。その代わりに力をくれてやるよ』
すると、黒い靄の濃度が上がっていった。
みるみるうちに力が湧いてきた。
『いつか…必ず…』
最後にその言葉を残し鬼は消えていった。
意識が戻ると…
月影雅義は笑っていた。
「黒鬼様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…遂に遂に遂に殺りました。黒崎龍平を殺しましたよ!」
鬱陶しい声を爆音で響かせていた。
「勝手に殺すなよ」
聞いていられないので起きていることを明かした。
「何故生きている!?」
月影雅義は驚いた素振りを見せながら聞いてきた。
「さぁな…さてと…お前を殺してやるよ…」
黒崎龍平は自分のある感情を鬼に喰わせた。
「俺の殺意を糧として力を寄越せ…
<我が鬼よ、我が身に宿れ>」
先ほどとは比べ物にならない力が溢れてきた。
「無駄だ!黒崎龍平、我が忠誠心の前に砕け散れ
<我が痛みを糧として、我に力を与えよ>」
すると、月影雅義もそれに対応するために鬼の力を発動さした。
そして、黒崎龍平は彼の懐に飛び込んだ。
右手に持っていた刀に向かってある言葉を呟いた。
黒崎龍平は刀を振りかざし一刀両断をしようとしたが月影雅義はそれを自身の刀で防いだ。
しかし、黒崎龍平の刀が月影雅義の刀に当たった瞬間、月影雅義の肉体に強烈な衝撃が与えられた。
辛うじて月影雅義はその場に立てていた。
恐らく赤鬼クラスでないと今の衝撃には耐えきれず倒れていただろう。
「何をした!」
月影雅義は激怒しながら聞いてきた。
「別に…、何もしてない」
「そうか…だが…無駄だ!
<鬼よ、彼の者に痛みを>」
次の瞬間、月影雅義の体から透明な拳が現れた。
そのまま黒崎龍平の肉体に向かってきたが…
「なるほど…これがお前の能力か…」
すると彼は笑った。
彼は、手のひらを前に出し拳を止めた。
そのまま拳を掴み、
「消えろ…」
そして、拳を消滅させた。
その光景を見た月影雅義は恐怖を見せた。
「ありえないありえないありえない、あの拳はこちらがわからは干渉出来ないはずだ…」
「なるほど、お前の能力が分かったよ。
お前の能力は恐らく、自分に与えられたダメージを相手に返すか、もしくはそれを使って自分の身体機能を強化する能力か」
それを説明している時に黒崎龍平は先ほどの現象に納得した。
「私の能力が分かったところで意味などない!
貴様は私に攻撃することは出来ないのだからな!」
月影雅義は爪を噛みながらそう叫んだ。
「だったらお前を殺せばいいんだろ?」
今の黒崎龍平には先ほどの言葉など無意味だった。
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
月影雅義は我を忘れて黒崎龍平に突っかかっていった。
「はぁ…面倒な野郎だな…」
黒崎龍平は手に持っていた刀を構え、斬りかかろうとした。
だが、それは叶わなかった。
斬りかかろうとしたその瞬間、突然体が動かなくなった。
「な…一体…どうゆうことだ?」
すると、体育館の室内にある影から一人の人物が現れた。
『困るんだよ。彼を殺されると』
そこには黒い法衣を着着た、人物が立っていた。
その人物の顔には鬼のお面がついていた。




