第2章 12話 『水本早苗の初陣』
数人の集団が一斉にこちらへ向かって走りだした。その動きはとても速く普通の人間なら恐らくその動きに反応出来ない。
普通の人間なら…
「なぁ…水本、本当はあいつら殺してないんだろ?」
ずっと疑問に思っていたことを聞いた。
すると彼女は、驚いた表情を見せた。
「そうよ…、私は殺ってない。あそこに行ったら既にあの死体の山は出来てた。でも何で分かったの?」
「簡単だ…お前にそんな力はないからな」
少し笑いながらそう答えると
「むかつく…、私そんなに弱くないから」
「知ってるよ、んじゃそろそろ行くぞ。半分任せるからな」
「了解、でも半分はとりすぎよ」
そして向かってくる集団の中に向かって黒崎龍平は走りだした。
「<我が鬼よ、我が肉体に宿れ>」
刀を抜き、十人ほどいる集団のうち五人を相手にした。
その集団は全員、ナイフを持っていた。
「個性がねぇなぁ!」
三人が前方から向かってきた。残りの二人が後方
から攻めてきていた。
「そこそこ頭は回るみたいだが、お前らの動きは単調なんだよ」
三人ほど一斉にナイフを向け刺そうとしてきたが刀の側面でそれを受けそのまま刀を引き体勢が崩れた瞬間、刀を横に振るい首を切断した。
「大人しく死ね…」
その光景を見ていた後ろの二人が酷く怯えていた。そのまま逃げようとしたが。
「逃がさねぇよ!」
刀を投げつけ、1人の心臓部分に突き刺し。
地面を一蹴りし凄まじい勢いで跳び、逃げていたもう1人の頭を掴み地面に叩きつけた。
「弱いな…」
刀を抜き、鞘に納めると彼は少し歩いた。
水本早苗の方にも五人の集団が襲いかかっていた。
「こっちは女の子なんだから少しは優しくしてよ」
そんなことを思いながら刀に手を回した。
「さてと、仕事だからあいつら殺さないとな、
<鬼よ、我が神経に大いなる力を与えよ>」
その瞬間、彼女の体の隅々に電流のようなものが流れ込んできた。
「さっさと終わらせないとね、これ結構キツいから」
五人の集団は一斉に飛びかかってきた。
そしてその内の1人が天井から頭の真上をめがけてナイフを突き刺そうとしていた。
だが、
「そんなもの見なくても避けれる」
刺さろうとしていた時、彼女は横に体を倒した。
その動きはとても美しく、見とれてしまう程だった。
そして刀を抜き、その男の首を斬った。
「汚いな…、全く」
残りの四人はそれぞれ別の方向からナイフを突き刺そうとしてきたが、
「さっさと死んで…」
刀を一周させ、胴体を切り裂いた。
それで三人、絶命した。
後の1人は斬られる前に逃げ出していたが、
「遅いな…」
壁を蹴り、4回程蹴りながら左右に進みその男より前に出た。
「おやすみ…」
その言葉が男が聞いた最後の言葉だった。
「あんまり能力使わなかったな…」
少し残念そうな顔をした。




