表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐鬼  作者: 中村淳
第2章 『学校での戦闘』
22/113

第2章 11話 『勝負』

男の首筋に刀を向け、黒崎龍平は幾つかの質問をしていた。


「お前らの目的は何だ?、まぁ俺のことを殺しに来たんだろうけどな」


そして彼は、男の心音に耳を傾けていた。

トクン、トクン。普通の音を奏でていた。

鬼の力で強化された五感は色々なことが出来るようになっていた。

そのうちの1つが、人の心音を聞き嘘を見抜けるようになったのだ。


「じゃ次だ。お前らの構成員及びその能力を1人残さず言え、さもねぇとお前の小指を切り落とす」


ドスの効いた声を放った。

並大抵の人間なら洗いざらい言うのだがこの男は違っていた。


「い…言えない…言ったら…あいつに殺される…死にたくない…」


酷く怯えていた。それはまるでお化けを恐がる子供みたいだった。


「あいつって誰だ?、月影雅義か?」


「ち…違う…雅義様よりも恐ろしい男…やつの名前は…」


そこで話しが終わってしまった。

後は何を聞いても答えてはくれなかった。

数分後…

黒崎龍平達のクラスの隣にある学習室で、彼は尋問を続けていた。


「さっさと言え!」


男には反応がない…、ただただ怯えていた。

仕方がないのでしばらくここに縛ることにした。

教室に戻るとクラスメイトの反応はよそよそしかった。

こちらに怯えていたり、尊敬したりと言った目を向けられていた。


「なぁ龍平、さっきの奴らはなんなんだ?

お前何か知ってるだろ?」


クラスの男子の1人が聞いてきた。


「ごめん…何も言えない…」


それが彼の答えだった。

理由は色々ある。この質問に答えることが出来ない理由。数え上げるとキリがない、強いて言うなら彼らに嫌われたくないのだ。

それが沈黙を貫く理由…


「ふざけんな!、死者が出てんのに何も教えてくれねぇのかよ!」


そしてその男子は拳を振るってきた。

鬼の力を使っている自分には避けられる速さだが避けないことにした。

その拳は見事に鳩尾に入り呼吸がしづらくなったがすぐに治ってしまった。

するとそこに、


「止めてよ!」


と櫻子が止めに入った。


「みんな、止めてよ!龍平は私たちのことを助けてくれたんだよ。それに龍平にだって言えないことがあるんだから止めてあげようよ」


黒崎龍平は驚いていた。

十年近く櫻子といるが、彼女が声を荒げている所は見たことがなかったのだ。

そして彼女はこちらに振り向くと、


「ねぇ龍平…私さ今まで龍平のこと少し恐いって思ってた。だってさ…あの事があってから龍平…

怒りながら泣いてるみたいだったから…」


「ありがとう…心配してくれて…」


そう返すしかなかった…

櫻子が思っていたことに答えてあげる時間は今は無いのだ。


「とにかくみんな、俺は今から校舎に入ってきた奴らを倒しに行くからここにいてほしい。何かあったら連絡してくれ、すぐに駆けつけるから」


それだけを言い残し行こうとすると、


「龍平!」


声の方に振り向くと、満面の笑みを向けた櫻子がいた。


「頑張ってね!」


その一言が彼に力を与えた気がした。



教室から出ると何人かの死体が転がっていた。

そして人の気配を感じ、すぐさま刀を抜こうとすると、


「ちょっと、私を殺す気?」


そこには血まみれの刀を持った、水本早苗が立っていた。


「この死体の山は?」


「私が殺したけど…」


その一言だけで会話は終わってしまった。

すると、十人ほどの集団が彼らに襲いかかろうと走りだしていた。


「ねぇ黒崎龍平、どっちが多く殺せるか勝負しない?」


分かりやすい挑発だ。だが、それに乗ることにした。


「いいよ…どっちが殺せるか勝負だ…」


そして彼は刀を抜いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ