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復讐鬼  作者: 中村淳
第2章 『学校での戦闘』
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第2章 9話 『日常の終わり』

柱から現れた人物は男だった。

身長は175㎝程の長身の男。印象的なのが、透き通るような白い肌。そして真っ白の髪の毛。

両目も日本人の顔立ちの割には白くなっていた。


「ごめんごめん、あまりにも闘いが凄くてさ」


とても穏やかでとろけるほど甘い声。

その声は聞くもの全てに安らぎを与えるのかもしれない。

そう思ってしまった。


「お前は何者だ?」


単刀直入に聞いた。その男は刀を携えており、もしこのまま一戦交えるようなら恐らく今の自分では勝てない…

そう思わせるほど濃い鬼の色を感じた。


「そんなに身構えないでよ黒崎龍平君。僕の名前は雪村進一。鬼の色は赤だよ、よろしくね」


満面の笑顔を向けてそう言い放った。


「それで、何で闘いを見てたんだ?」


「とっくに理由は分かってるでしょ?」


理由は分かっている。恐らく…


「私と黒崎龍平の力を知りたかったんでしょ?」


すると、沈黙を貫いていた水本早苗が話し出した。


「正解だよ、君たち二人は頭がいいね!」


拍手をしながら言われてしまった。

正直、この男からは何か嫌な物を感じる。出来ることなら今ここで殺しておきたい…


「まぁいいや雪村、お前が水本を唆したんだろ?、恐らく俺が今、1番黒鬼討伐隊に入れる可能性があるとかそこらへんのことを言ったんだろ?」


「正解…、当てたご褒美に1つ良いことを教えておくね。僕の順位は20位なんだよ多分討伐隊に入れるよ。討伐隊になったらよろしくね」


そう言い残しどこかへと消えていった。



雪村進一が消えていった後、水本早苗と話しをしていた。


「なぁ…、あいつ一体何者?」


水本早苗がそう聞いてきた。


「分からない、俺が聞きたいぐらいだよ」


「そう…、これからよろしく。もう襲ったりしないから。因みに私たち同じ学校だよ」


そして彼女はその場を後にした。



しばらく歩いていると。


「やぁ黒崎龍平君。さっきはどうでしたかぁ~?」


と目の前にいた清水遥がそう聞いてきた。


「何のことですか?」


「水本早苗と雪村進一。この二人とはいい関係になっておいてくださいねぇ~」


「どうゆうことですか?」


「龍平君の復讐に役立つかもしれませんよ」


「分かりました」


そして彼は基地を出た。



その日の晩…

ある店のカウンター席で二人の男が席についていた。


「それで?、私の黒鬼様のお身体に傷をつけた憎くて憎くて堪らない黒崎龍平の所在は分かったか?」


「えぇ…分かりましたよ。彼は今、この学校に通ってますよ」


そして一人の男が書類を差し出した。


「そこに黒崎龍平の学校のことが載ってますよ。それとそこにいる鬼化した人のこともね」


「ありがとう。あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。あの御方に立ち塞がり傷を与えた黒崎龍平。貴様は我が手で殺してやる!」


「ぜひ、そうしてください。期待していますよ月影雅義さん」


もう一人の男は店から姿を消した。


「必ずや、あなた様のために黒崎龍平の屍をお見せ致しましょう」


ここにまた1人、修羅が現れた瞬間だった。



翌朝…

目覚まし時計のばかでかい音を聞かされながら黒崎龍平は意識を覚ました。

彼には朝、自分のことを起こしてくれる両親がいないのだ。たまに坂本葵が来るぐらいなのだ。

彼の両親は彼が幼い頃に死んだらしい。

死因は不明だが、今となってはどうでもいい。


「朝か…、今日はあの夢を見なかったな…」


そう呟き、朝の準備を始めた。

顔を洗い、歯を磨き、制服に着替え黒崎龍平は学校へと向かった。刀を入れた袋を持ちながら…

学校に向かう途中、河村櫻子に出会った。


「おはよう龍平、今日クラスの親睦会でカラオケに行くけど一緒に行かない?」


かわいらしい笑顔を振る舞いながらそう言った。

普通の男なら喜んで首を縦に振るが生憎彼女は幼なじみなので何も感じることはない。


「俺、止めとく」


「最近…龍平、ちょっと変だよ。何か暗くなってる。確かに葵が死んだのは悲しいけど少しずつ前を向こうよ…」


少し勘違いをされているらしい。

自分は別に暗い訳ではない、ただ単に人を殺そうとしているだけなのだ。だが、それに罪悪感はいっさいないのだ。この国の法律など今の自分にとって何の役にもたたないのだ。


「ごめん櫻子、用事があるから…」


「うん!、分かった!」


その後、下らない会話をしながら学校に向かった。

学校に着き、朝のどうでもいい時間を過ごしていると。


「なぁ龍平、お前親睦会来ないのか?」


突然話しかけられた。横の席の男子からだった。


「止めとく、用事あるから」


それで会話は終わりになると思ったが、現実はそうはならなかった。


「悪いが来てもらうぜ!、お前が来ないと河村さんが来ねぇからな!」


その言葉を合図に、黒崎龍平は多数の男子からの視線を向けられた。


「分かったよ。行くよ…」


その言葉のおかげで視線は別の方に向かった。

その後、クラスの男子数人からの鬱陶しい恋愛話を聞かされながら授業を受けていた。

その光景を見ていると、黒崎龍平は自分から抜け落ちてしまった何かを見つけた気がした。


楽しい…


そう思っている自分がいた。

坂本葵が殺されてから何に対しても楽しいと思えなくなっていた自分がいた。

だが、この光景に混ざっている自分を知り、何かが変わっている気がした。

しばらくはこの日常に浸りたいと思った。

だが、彼のこの日常は最後の日常となってしまった。

正門付近から大きな爆発音が聞こえた。

その瞬間、彼は複数の鬼の波動を感じた。


「そんな…なぜこんなところに?」


その光景を見て彼は驚いた。

その光景は、


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ憎い憎い憎い憎い憎い憎い黒崎龍ぅぅぅぅぅぅ平ぃぃぃぃぃ殺してやる!」


血に染まったナイフを振りかざした瞬間、また1人生徒が死んだ。

クラス中、いや学校中から悲鳴が上がった。


「イヤァァァァァァァァァァァァァァァ!」


「キャャャャャャャャャャャャャャャャ!」


そこら中から悲鳴が上がってきた。

体育の授業をしていた上級生数名が月影雅義、いや黒月組の集団により殺されてしまった。

黒月組の象徴である、黒い三日月をちらつかせまた1人、人を殺している。

そしてこの日を最後に彼の日常は終わりを告げた。

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