第2章 7話 『黒の会議』
そこはとても暗い、富士の樹海よりも暗い山の洞窟だった。まだ、昼間だと言うのにその場所一帯はとても暗い感じがしていた。
そんな洞窟付近を歩く3つの人影がある。
『みんな来てくれているかな?』
人影の一人が話しだした。
「来てくれていますよぉー、だって黒鬼様のお誘いですからね」
と、とても明るくかわいらしい女の声をした人影が言った。その言葉に反応したのか別の人影も話しだした。
「その通りです黒鬼様、黒鬼様の命令を無視するなど言語道断です」
今度は男の声だった。しかし2つの人影は周りが暗く、よくは見えない。
『二人ともありがとう。だけど今回は来てもらわないとね』
「まぁー何せ、黒鬼様のお体に傷をつけた子がいるなんて重大ですもんね」
「うるさいぞうらら、黒鬼様はまだお体の調子がよろしくないんだ。自重しろ」
「ルー君は相変わらず固いなぁー、まぁいいけど…」
そんな二人の様子を見て、黒鬼は笑っていた。
しばらく歩くと、洞窟の入口が見えた。
入ってみるとそこには多数の水晶のようなものがあり、とても明るかった。
壁につけられている扉を開くと、すでに5人が席に座っていた。
『みんな、待たせて済まないね。今から定例会を始めよう』
その言葉をきっかけにし、全員が立ち上がった。
「黒鬼様、一番と四番あとどういうわけか十番も来ておりません」
と、近くにいた人影が言った。
『一番と四番が来ないのはいつものことだけど、
十番が来ない理由は殺されたからだよ。今日の議題はこのことだよ』
すると、全員の表情が緊張していた。
「おかしくないですかー、確かに十番は十師団の中でも一番弱いけど、簡単には殺せませんよね?」
「黒鬼様、もしかして黒崎龍平でしょうか?」
『それは違うかな。まだ彼は鬼化して日が浅い、いくら彼の力でも十師団は無理だよ』
「ならば、黒月組の月影雅義でしょうか?」
『その可能性が高いから、討伐隊を送り込んだよまぁ残念ながら彼は生きているけど。今回の議題はもうひとつある。月影雅義の暴走をどうするか?』
「いっそのことー、十師団に入れたらどうでしょうか?」
「それは出来ない、彼は私たちの理念を大きく間違えている。私たちは金は盗らない。人の命も最小限だけだ。そう考えると十番が死んだのは良かったのかもしれないな」
『とにかく、月影雅義はもう殺るしかないね。残念だよ彼は僕に大きく貢献してくれたからね。さてと最後に黒崎龍平のことだけど皆、彼は僕らの救世主かもしれないよ、彼ならもしかしたら…
世界を救えるかもしれない…
』
それは彼らの目的でもあり、黒鬼にとっての果たすべき約束なのだ。
「世界を救うのは、黒鬼様です!」
最後にこの言葉を残し、彼らの会議は終結した。
話を黒崎龍平達に戻そう…
「龍平君…、君にはこれからやるべきことが2つある。1つは鬼の能力をいつでも使えるようにすること。もう1つは黒鬼討伐隊選抜試験に合格することだよ」
赤城隼人は焦りながらも穏やかだった。
「赤城さん、黒鬼討伐隊選抜試験ってもしかしてそれに合格しないと殺しに行けないってことですか?」
「そうゆうことになるね。この試験は年に三回あるんだよ、一回でも合格したら一年間黒鬼討伐隊にいられるんだよ」
「赤城さんも受けるんですか?」
「僕は受けないよ、僕らの組織にはランキングがあってそこの上位15名は受けなくても入れるようになってるんだよ。僕は4位だからね」
「俺は何番目ですか?」
「正確にはまだ出てないけど、恐らく40番らへんかな」
「そうですか…」
越えるべき人の数の多さに黒崎龍平は戸惑った。
だが、越えないと黒鬼を殺せないのなら越えるしかないな。
とても前向きになったと自分でも感じていた。
「それからぁ~もうひとつ、龍平君のぉ~武器を決めないといけないですよぉ~」
沈黙を貫いていた清水遥が話しだした。
「どうしますかぁ~、龍平君」
と聞かれた。とっくに答えは決まっている。
「日本刀にしてください!」
と元気よく答えた。理由は色々あるが強いて言うなら、彼女が味わった苦痛を黒鬼にも味あわせたいのだ。
「分かりましたぁ~、では二日後学校が終わったら来てください」
そして黒崎龍平はその場を後にした。




