第2章 6話 『倒すべき敵』
入学式も終わり、土日の休みになったある日。
『速報です…、先日未明大手銀行の山本銀行が謎の集団の襲撃を受け、現金約2000兆円が奪われました。どうやって奪ったのかは不明です。
これにより、日本の経済は大破綻を迎えるでしょう。繰り返します…』
こんなニュースが朝から流れていた。この日の夜から緊急特番でもあるのだろうと思い、レンタル店に行きDVDでも借りようと思った。
すると、インターフォンが鳴った。
「どちら様ですか?」
『私、櫻子だよ。少し話したいから入れてくれない?』
朝から勘弁してほしいが、入れることにした。
「おはよう龍平、あのさ今日どっか出かけない?」
と休日のお誘いをくれたのだ。
「ごめん櫻子、今日と明日用事あるから無理そうごめんな」
そう言って頭を下げた。
「そっか…、分かった。また来週ね…」
そしてそのまま帰っていった。
櫻子が帰ってからしばらくするとメールが来た。
赤城隼人からだった。内容は、今から基地に来てほしいといった内容だった。
基地に行くと、赤城隼人と清水遥が立っていた。
「おはよう龍平君、済まないね休日に呼び出して」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
彼は相変わらず礼儀正しいなと思っていると。
「おはようございまぁ~す、龍平君今から君に聞いていただきたぁ~い話があるんですよぉ~」
「おはようございます、清水博士」
「そんな固くなくていいですよぉ~、私のことはしーちゃんとか、はるちゃんって呼んでくださぁ~い。隊長だけですよ博士呼びをしているのは」
と言われてしまった。さすがに歳上の人をちゃんづけは辛いのだ。そして彼らは研究室に向かった。
研究室に着くと、赤城隼人が話しだした。
「今日、ニュースで言われていた銀行の事件だけどあれに鬼が絡んでいるのは分かっているよね?」
と聞かれてしまい、
「はい…、もしかして黒鬼ですか?」
「いや、違うんだよ。彼らは黒鬼達ではないよ」
と言われてしまい、疑問が生まれた。
「じゃあ誰なんですか?、2000兆円何て鬼の力がないと奪えませんよね?」
「今回はその事で話そうと思っていたんだよ。
龍平君は、黒鬼達以外にも鬼の力を悪用する奴等がいるのは知っているかい?」
少し驚いた。
「知りません…」
「僕らの主な仕事は鬼の力を悪用する奴等を倒すことがまず第一なんだ。それで今、最も警戒しているところが2つあるんだ。どこだと思う?」
「黒鬼達、ぐらいしか分かりません」
「ひとつは黒鬼達、もうひとつは『黒月組』っていう集団を僕らは要注意している。黒月組っていうのは相当質の悪い集団でね、金や宝物ためなら平気で人を殺す奴等なんだ。今、討伐隊を送り込んでいるけど多分僕らが負けると思うよ。それだけ奴等は強いんだ。中でもNo.1とNo.2この二人が強いんだ」
「この二人は兄弟でね、No.1が兄でNo.2が弟なんだよ。それでさ、驚くことにNo.2の弟は黒鬼信者なんだよ、しかも兄より強い。多分討伐隊を殺しているのは弟の方だと思うよ」
その同時刻…
五十人程の集団がとあるビルにいる二人の男を襲撃していた。
「今日こそは、『黒月組』を終わりにするぞ!」
と隊長が気合いを見せた。
すると、
「終わりになんて出来ないよ…」
そんな声が聞こえると、
「ギャァァァァァァァァァァ!」
悲鳴が聞こえた。その悲鳴の方を覗くとその男の首から上が無くなっていた。
「総員警…」
続きを言おうとしたが言えなかった。
「お前、うるさいよ…」
その声が男が聞いた人生最後の声だった。
「黒月組、No.1月影雅人だ!、何でこんなところに?」
隊員の一人が怯えながら言い放った。
「お前らを殺すためだよ…」
そしてまた彼の持つ小型ナイフが数名の命を奪った。
「総員撤退だ!」
と全員でその場から逃げようと出口に走ったが、
「逃がさないよぉ~」
出口に立っている男が持つ日本刀により既に十人の人間が殺されていた。
「あいつは、黒月組、No.2月影雅義だ!」
その言葉を最後に隊員の一人である彼は殺された。
数分後…
「やっと全員殺したか、行くぞ雅義」
「まだこいつは殺してないよ、兄さん少し待ってくれ」
「何でだ?」
「こいつには、黒鬼様のお体に傷を与えた。憎っき男の名前を聞かないと、あぁぁぁぁぁ黒鬼様ぁぁぁ、必ずやこの私が奴を殺します」
だが、隊員は何も知らず苛立ったので彼らはすぐに殺してしまった。
「殺してしまった…罪なき人を。あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ黒鬼様お許しを」
そして彼らは姿を消した。
「以上が黒月組のことについてだよ」
と赤城隼人は話終えた。
幾つか疑問に思っていることがあったので聞いてみた。
「赤城さん、なぜ月影雅義は黒鬼信者何ですか?」
「それは分からない、彼が金を奪う理由も黒鬼に渡して信頼を得るためだからね」
そうまでして欲しいものなのか?
「赤城さん、つまり奴等はいまだに信頼得ていないんですか?」
「そうなるね、もし彼が信頼を得てしまうと恐らく、黒鬼十師団に入ってしまうからね」
また、不思議な言葉が出てきた。
「赤城さん、黒鬼十師団って何ですか?」
「黒鬼十師団っていうのはね分かりやすく言うと、黒鬼直属の十人の強者のことだよ一人一人が高い戦闘スキルを持っているから僕ら『赤鬼』でも勝てるか分からないよ」
そのときの彼の表情も真剣だった。
「龍平君、恐らく十師団が君にとっての最大の壁になると思うよ」
その言葉は深く心に残った。
その同時刻、黒き集団の集まりが開かれていた。




