あの子は今日も青い夢を見る
ああ、もうだめだ。
なにもかも、なくなってしまった。
夕焼けの綺麗な日のことだった。
真っ赤に染まる空の下で、それ夕焼けより鮮やかで、恐ろしく、惹き込まれるような赤が地面に滴った。
先ほどまで手を繋いで楽しく歌を歌っていた母と父は、お腹を抑えて倒れてた。
ーー赤い。
密やかに笑みを浮かべた深く帽子を被っていた男は、そそくさと逃げていった。
なにが起きたのか理解できたのはお医者様に、「貴女のお母さんとお父さんは死んでしまいました。」と、頭を下げられた時だった。