表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/81

第七十四話 イスカリオルとの合流

第七十四話です。

よろしくお願いします!

 俺は三日ぶりに、この街に来て初めてイスカリオルと食事をした店にやってきた。戸を開けると「いらっしゃいませ-」と女の子の声が聞こえてくる。


 というか、その声の主がイスカリオルだった。


「なんじゃ、クロンではないか。お主がきたということはもう金の工面が出来たのか?」

「まあ、そうだけど……なんだよその顔は」


 イスカリオルはあからさまに残念そうな顔をする。


「別にここでの手伝いが思いの外楽しくて、もう少しここにいたいと思っているなどという訳では無いぞ」

「わざわざ心情の解説をありがとう」


 サヤと違ってイスカリオルはわかりやすくていいな。


「それにしてもおまえ、皿洗いをしているはずじゃ無かったのか?」

「皿はすぐに割ってしまうからやらせてくれなくなったのじゃ。代わりに接客をするように勧められてな」

「おまえに接客なんか出来るのかよ」

「馬鹿にするな。みな儂のことを可愛いお嬢ちゃんと言ってくれて、チップもたくさんもらったのだぞ」

「ほう。いくらくらいもらったんだ?」

「ざっと銀貨十枚位かの」

「おまえ……それで借金返せばいいじゃないか」


 俺がため息を吐くと、イスカリオルが首を振る。


「それは無理じゃ」

「何でだよ」

「毎日の食費に消えてしもうた」

「おまえ、馬鹿だろ……」


 何でよりにもよってこの店で食事してるんだよ。外にもっと安いところなんていくらでもあるだろ。

 

「まあ、何を言っても今更か……とにかく店主に話を付けたいんだが」

「うむ。今呼んでくる。そこで待っておれ。……そうじゃ、何か食べていくか?」

「そんな金は無い」

「むぅ。あいかわらずケチじゃのう」


 別におまえを見捨てて行ってもいいなら、有り金はたいてここで飯を食っていってもいいんだけどな。

 イスカリオルはぶつぶつ文句を垂れながら、店の奥へと歩いて行った。そしてすぐに店主を連れてくる。


「おう。金は準備してきたのか?」

「ああ、ここに銀貨三枚ある」

「悪いな。実は嬢ちゃんが皿を割りまくって、銀貨一枚分借金が増えてるんだ」

「マジかよ……」


 俺はついに闘技場で稼いだ銀貨の最後の一枚を使うことになってしまった。


「……これでいいか」

「ああ、確かに銀貨四枚受け取った。名残惜しいが嬢ちゃんは連れて行ってやんな」


 店主から許可が下りたので俺はイスカリオルをつれて店を出ようとする。


「マスター、世話になった」

「おう。嬢ちゃんも接客はなかなかのものだったぞ。また働きたくなったらいつでもきな」

「うむ。気が向いたらまた頼む」


 三日の間にイスカリオルはだいぶ店主の親父と仲良くなっていた。というか気が向いたらまたここに来て働くつもりなのかよ。


「で、お主はどうやって金を稼いだんじゃ?」

「ああ。魔物狩りギルドに入って、魔物を狩る依頼をこなしてな」

「なかなかよい稼ぎ口では無いか。どうせなら次の街に行く前にもうすこし稼いでおいてはどうじゃ?」

「それなんだが……」


 俺はギルドに入ってすぐ、サヤに正体がばれてしまい、この街にいる間だけ家来になる契約を交わしてしまったことをイスカリオルに説明した。


「お主、馬鹿じゃろ……」


 イスカリオルが呆れたような顔をする。こいつに馬鹿呼ばわりされるのは癪だが、今回に関しては俺がうかつすぎたので言い返せない。


「で、その娘っ子の手伝いをするというのか?」

「まあ……」

「記憶探しはどうするのじゃ? 行っておくが、お主には無駄に過ごせるような時間はないからの」

「わかってるが、今回のは仕方が無い。出来るだけ早く用件を済ませて契約を終わらせるしか無い」


 そもそもの原因としておまえが軟らかい肉にこだわって借金を作らなきゃこんなことにはならなかったのだが、今更だしここでへそを曲げられても都合が悪いので、それは言わないことにした。


「で、儂はお主の中に入っておいた方がいいかの?」

「別にどっちでもいいが。一応サヤには連れがいることは言ってあるし」

「そうか。ちゃんと年若い可憐な美少女を連れて歩いていると言っておるのか」


 そういえば、どんな奴を連れているかまでは言っていなかったような気がするな。よくよく考えてみればこんな童女、といっても見た目だけで中身は婆なわけだが……こんなのを連れ回しているなんて知れたらあいつに何て言われるか。おそらく肯定的な言葉は聞けないだろう。


「……やっぱり俺の中に入っていてくれ」

「まあ、その方がいいじゃろうな。儂もそろそろ疲れたし、少し休みたいところでもあるしの」

 

 さすがに大通りでは無理なので、イスカリオルに手を引かれて人目の付かない路地裏に連れ込まれる。人の目が無いことを確認するとイスカリオルは光の粒子となって、俺の中に入り込んできた。


『では、儂は少しの間寝るからの』

「べつに構わないが、おまえの力が必要になったらたたき起こすぞ」

『うむ。できる限り優しく起こすように』

「それは場合によるな」


 イスカリオルは起こすときはくれぐれも優しくじゃぞと念を押して、眠りについた。

 

 だが、改めて考えてみると、イスカリオルを起こすのに呼びかける以外の方法は無いから、優しく起こすも何も無いのではないかと思った。


 まあ、出来るだけ優しく呼びかけてみればいいか。

 そんなんで、イスカリオルが目を覚ますのかは甚だ疑問だが……。


明日もなるべく更新する予定です^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ