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第七十話 家来

第七十話です^^

よろしくお願いします!

 俺のことを、警戒心を露わにしながら睨み付けてくるサヤ。

 俺がこの大陸で四人目の精霊契約者で、同時に大陸中で指名手配されていることを知ったサヤは、おそらく俺を捕まえようとでも思っているのだろう。だが、正直な話、こいつに斬りかかってこられても別にどうとでも出来る。


「おまえさ、このまま気づかないふりして、街に帰ってから通報した方がよかったんじゃ無いのか?」

「どういう意味?」

「いや、だっておまえじゃ俺は倒せないし。逆に正体を知った奴を俺がどうすると思う?」

「私を殺して口を塞ぐ気……?」


 サヤが緊張した面持ちで、剣をぎゅっと握りしめる。

 別に殺しはしないけどさ。

 まあ、ちょっと脅して俺の正体を言いふらされないようにはするけど。


「私だって馬鹿じゃ無いわ。あんたをどうにか出来ると思わなきゃ、剣なんて向けないわよ」

「おまえ、本気で俺に勝てると思ってるのか?」


 その程度の剣の腕で?

 冗談だろ。


「……勝てるというか、もうあんた動けないわよね?」

「は……?」


 こいつは何を言っているんだ? 

 俺は腰から下げている剣に手を伸ばす……ことが出来なかった。


「ど、どういうことだ。身体が動かない」


 突っ立った姿勢のまま、身体をぴくりとも動かすことが出来なくなっていた。

 なんだこれ、何が起きた?


「……まさか、魔法か?」

「そうよ。あんたの意識に干渉して、身体を動かせなくさせてもらったわ」

「そんなことが、可能なのか……?」


 精神干渉系の魔法でそんなことが出来るなんてイスカリオルからも聞いたことが無い。そもそも精神干渉系の魔法なんて、たいした効力もなく、戦闘においてもあくまで補助に使う程度の魔法だ。いままで会った中ではおそらくメルカが一番の使い手だが、それでもメルカが使った認識阻害ですら、よく見られたら見破られてしまうものだと言っていたし、実際精神干渉系の魔法なんてものは、その程度のものなんだ。

 だから、これは異常だ。

 相手の動きそのものを封じてしまう魔法なんて聞いたことが無い。

 しかも、


「魔法まで使えないのか……」

「深層意識に干渉して、魔法を使用できなくしているからね」

「おまえ……」


 獣種の魔物相手にはいいようにやられていたサヤだが、対人戦となるとここまでやっかいなやつだったとは……。


「でも、そんな魔法があるなら、なんでギルドの試験の時に使わなかったんだ?」

「この魔法は効果が出始めるまでに数時間がかかるのよ」

「そんな前から、俺に魔法を……」


 油断していた。ということは、こいつは最初から俺を殺すつもりだったのか。


「俺の正体にも、もっと前から気づいていたってことか」


 うっかり空間魔法を使ってしまったから正体がバレてしまったのかと思ったが、どうやらそれより前から、俺の正体はバレてしまっていたようだ。そして、確実に俺に勝てるこの瞬間まで、そのことを巧妙に隠していたとは……完全にサヤのことを見くびっていた。こいつ、ヤバい。……殺される。


「別にあんたの正体に気づいたからこの魔法をかけた訳じゃ無いわよ」

「え……?」

「それがまあ、たまたま指名手配されてる契約者でツイテいたわ」


 恐ろしく周到な奴だと、サヤに対して恐れを抱いていたが、それはどうやら少し買いかぶりすぎていたようだ。しかし、現状がまずいことには変わりない。


 サヤがゆっくりと近づいてくる。対する俺は指一本たりとも動かすことが出来ない。

 そして、サヤは手にした剣を俺に突き立ててくるのかと思いきや、そうはならなかった。


「私は別に今あんたをどうこうしようとは思っていないわ。……取引をしましょう」

「え……? 取引?」

「そう。私があんたの正体を誰にも言わない代わりに、私がこの街にいる間、あんたは私の家来になりなさい」

「家来……? それは、具体的に何をするんだよ?」

「私が望むことすべてよ」


 それはまたアバウトな取引だな。そんな取引はもちろんしたくない。


「なに? 嫌なの?」

「それは……」

「なら、仕方ないわね」


 サヤは剣を俺の首筋に当ててくる。


「……わ、わかった。その取引に応じる」

「そう。それはよかったわ」


 サヤは剣を下げ、代わりに紙切れを取り出してきた。

 それは、魔導誓約書だった。


「手だけ動かせるようにするから、これに名前を書いて」

 

 俺はサヤが差し出してきた魔導誓約書に視線を走らせる。内容を見るに以前勝手に結ばされた奴隷契約の誓約書のような理不尽に命に関わるような文言は記されていなかった。

 基本的にはサヤが口にしたような内容だけが記載されていた。


 これに名前を書くと俺はサヤの家来として、サヤの言うことを聞かなければならなくなるのか。だが、誓約書の内容にはサヤも俺の秘密は誰にも喋れないとある。つまり、この契約書はサヤのことも縛ることになる。そうなれば俺の正体がサヤからばれる心配は無くなるという訳か。


 俺は動くようになった手で、すでに書かれていたサヤの名前の下に自分の名前を記入する。


 その瞬間、胸の内にわずかな圧迫感にも似たようなものを感じた。おそらく魔導誓約書が効力を発動した証拠だろう。


「これで、あんたは私の家来よ」

「……ああ」


 俺が渋々頷くと、サヤは俺にかけていた魔法を解除した。

 ようやく身体が自由に動くようになる。しかし、もうサヤのことをどうにかすることは出来なくなってしまった。

 ひとまずサヤから秘密がバレる心配が無くなったのはよかったが、果たしてサヤに何をさせられることになるのやら……。


「じゃあまずは私の剣をきれいにしてちょうだい」


 そう言って魔物の血肉がこびり付いた剣を手渡してきた。


 家来になってそうそうに雑用を命じられた。腐臭が漂う剣を手に取って俺はため息を吐く。こうやって俺はこれから、こいつにこき使われる羽目になるのだろか……。


多忙につき、しばらく平日の投稿はお休みします。申し訳ありませんm(_ _)m

次話の投稿土曜日です。

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