表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/81

第五十九話 魔物狩りギルド

第五十九話です!

よろしくお願いします(^^)

「すいませんでした――!!」


 俺はとにかく土下座した。なんなら床に額がめり込むほどの勢いで。


「そんなに謝られてもなぁ……うちは金さえ払ってくれれば別にいいんだけど?」

「すぐに稼いで返します!」

「そんなこと言って逃げたりするんじゃないか? ここにはそういう客が腐るほどいてねぇ」


 そう言われても、金を稼ぎに行かないことには返しようがないし……。


「一月の間皿洗いでもするというなら、まけてやるけど、どうだい?」


 一か月もこんなところに拘束されるなんて冗談じゃない。何か他に方法はないものか。


「それは勘弁してください。ちゃんと金は稼いできてすぐに返しますから」

「なら……このお嬢ちゃんを置いて行きな。それなら、待ってやってもいい」


 イスカリオルを置いて行く……?


「あ、じゃあそれで」

「おいちょっと待て。お主、なに躊躇いもなく、儂を置いて行くなどという非情な決断を下しておるのじゃ」

「だって、金を稼ぎに行くのに人質がいるって言うんだからしょうがないだろ。さすがに一月もこんなところで皿洗いなんてしてられないし。というかおまえが柔らかい肉を喰いたいなんて言うからこんな高そうな店に入ってしまったんだし」

「いや、でも、お主だって普通に食べる気満々だったではないか!」

「いやいや、俺は正直そこらへんに生えてる雑草でもよかった」

「嘘をつけ!」


 抗議してくるイスカリオルを放置し、俺は店主に向き直る。


「そういう事でこいつは預けますんで」

「お、おお。まあ、冗談のつもりだったんだが……いいのかい? まだ、だいぶ子供みたいだが」

「いいですよ。何なら待っている間に皿洗いでもなんでもさせちゃって下さい」

「もしあんたが帰ってこなかったら、この子がどうなっても知らないが、それでもいいのか?」

「別に構いませんよ。俺はちゃんと金を返しに来ますんで」

「そうか。期限は一週間だ」

「わかりました」


 俺は話をつけると踵を返して、店を出ていこうとする――と、その手を掴まれた。


「待て。何勝手に儂を置いて行くことで店主と合意しておるのじゃ。そもそも人質ならお主がなればよかろう」

「俺が人質になってもおまえじゃまともに金稼げないだろ」

「う……それはそうじゃが」

「皿でも洗って待ってろよ。すぐに金用意して帰ってくるからさ」

「もし、儂を見捨てて逃げようとしたら、すぐに転移魔法で逃げるからの。そしたらお主は食い逃げ犯として追われる羽目になるからの」

「逃げないって。自分の契約者を信じろよ」

「……仕方がないの。できるだけ早く戻ってくるのだぞ」


 名残惜しそうに手を放すイスカリオル。世界に七体しかいない最強の精霊のくせになんでそんな不安そうな顔で俺を見るんだ。いざとなれば俺と違ってどうとでもできるだろうに。


 とにかく、店から出ることはできたので、手っ取り早く金を稼ぐ方法を探す。とはいってもまともに働いたことがないので、どうすればお金が手に入るのかわからない。


 今までは剣闘奴隷として戦って稼いでいたからな。銀貨三枚くらい一試合勝てばすぐにでも手に入るんだが、あいにく今の俺は剣闘奴隷ではない。だから試合で稼ぐことはできない。しかし、今の俺は空間魔法を抜きにしたってそれなりに強いはずだ。となれば、この力を生かしてうまく稼げるような方法を見つけた方が手っ取り早く稼ぐことができるのは確かだ。ただ、そんな都合のいい仕事があるわけが……。


 そんなことを考えながら街中を歩いていると、ふとその目に留まるものがあった。


「魔物狩りのギルドか……そういえば、こいつらは魔物を狩ることで報酬を得ているんだよな」


 いったいどれくらいの報酬を受けているのかは知らないが、魔物狩りなら俺の力も存分に使えるし、なにより魔物と戦った経験もある。これなら手っ取り早く稼げるのではないだろうか。


 俺はちょうどすぐ目の前にあった魔物狩りのギルドの建物に足を踏み入れてみた。看板には『鮮血の五芒星(ブラッド・ペンドラム)』と書かれていた。名前がなんか、いかついな。


 ギルドの建物内部は酒場のような様相を呈していた。昼間から一部席では宴会騒ぎになっているし、何より全体的に騒がしい。

 入った際、数人に鋭い視線を向けられたが、あまり関わりたくないので気付かないふりをして奥へと歩いていく。何やら窓口のようなところがあるし、おそらくそこで話を聞けばいいんだろう。

 

「すみません。魔物狩りについてお聞きしたいんですが」

「あん? 依頼の達成報告か? ならギルメンカードか依頼書だして」

「あ、いえ、そうじゃなくて」


 どうやらここでは依頼の報告を受け付けているらしい。もしかしたら依頼もここで受ければ、報酬のもらえる魔物狩りの仕事が得られるのではないだろうか。

 そう思った俺は直接訪ねてみる。


「依頼を受けたいんですけど」

「ああ。じゃあ、ギルメンカードだして」

「えーと、そんなものは持っていないんですが」

「はあ? じゃあ依頼は受けれねーよ。ここは『鮮血の五芒星』のギルドなんだからな」

「もしかしてギルドに入ってないと魔物狩りってできないんですか?」

「別に魔物を狩るのは自由だが、報酬付きの依頼は受けられねーよ。というか坊主、そんなことも知らねーでこんなとこに来たのかよ」


 ギルドメンバーにならないといくら魔物を狩っても金にならないらしい。意外と面倒くさいな。

 受付の人に魔物狩りの報酬システムについて聞いたら面倒臭そうに簡単な説明だけしてくれた。

 なんでも魔物狩りについては国から魔物狩りギルドに対して依頼が出され、それを達成することによって、国から報酬が与えられるらしい。たまに報酬を支払うことができる個人や団体が依頼を出してくることもあるが、基本的にはそちらもギルドに向けて依頼を出す。つまり、魔物狩りを生業にするにはギルドに入っていなければそもそも依頼を受けることができないのだ。自分でギルドを立ち上げることも可能だが、それにはメンバー集めと依頼元である国へのギルド設立申請を出して審査を受けなければならないらしい。それではさすがに面倒すぎるし時間がかかりすぎるので、俺が魔物狩りで金を稼ぐにはどこかのギルドに入って、依頼を受けるというのが妥当なとこだ。


「ちなみにここのギルドってどうやったら入れるんですか?」

「そりゃ、入団試験を受けりゃ入れるが……そういえば明日の朝一に入団試験が開かれるな。坊主じゃ試験に受かれるかわからんが、参加したきゃ明日出直しな」

「わかりました」


 タイミングのいいことにこのギルドでの入団試験が明日開かれるらしい。

 まずは、それに参加して魔物狩りギルドに入団するか。


 俺はひとまずやることを決めて、宿へと向かう。

 しかし、金がない事を思い出して、俺は仕方がなく路地裏で夜を明かすことにした。


 ……やっぱり、ちょっと寒いな。


次話の投稿予定は金曜日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ