表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/15

進撃

 うおぉぉぉぉ!! と猛者達の咆哮が響き渡る中、桃太郎は何もせず、そして、犬、猿、雀も何もする事が無いまま、船の上にいた。


「あ、あの……。突撃隊長は……?」

「うん。僕も斥候は……?」

「したかったのか?」


 とんでもないとばかりに首を横に振る二匹。雀に至っては、どうしてここまで連れて来られたのかと、困った顔をするばかりである。


 どうしてこんな事になったかと言うと、桃太郎が全て悪いのである。鬼ヶ島へ向かって進軍していた筈の桃太郎達一行。鬼ヶ島へと向かう船を借りる村での出来事。犬、猿、雀だけでは心許無いと、何故だか知らぬが、村の酒場にて博打に参加したのだ。金の出所は勿論猿であるが。然し乍驚いたのは、オトモーの二匹と一羽である。今まで隠していたのか、それともただ運が良かっただけなのか、多分、前者ではあると思うのだが、負けない。どれだけ賭けても、どれだけ無茶をしても。負けないのだ。一銭も負けない。まるで八百長の如く。如何様でもしているが如く。負けない。勝ち続け、そして果て、村の権利迄をも剥奪して桃太郎が勝利したのだ。


 これには村の大人達も烈火の如くいかった。怒ったがどうしようもない。怒ってもどうしようもないのは、村人達もわかっていた。賭けたのは自分自身。負けたのも自分自身。勝負に勝った桃太郎に文句を言える筋合いも無ければ、赤子相手に博打で負けて、いい年した大人がキレる訳にもいかない。それでもこの、理不尽な状況に怒るしかなかったのである。怒らなければ、どうすれば良いのかわからなくなってしまうからだ。


 そんな状況を打開したのもまた、桃太郎であった。桃太郎の声が鶴の一声となる。


「この状況だと、まるで俺が悪人のようだ。それは俺の望むものでもない。余りにも子供気がないので、お前達に名誉挽回の機会を与えてやる」


 いやいや、どう見ても、何処からどう見ても、アンタが悪人だよ。しかも子供気ないなんて言葉、初めて聞いたよ。と、二匹と一羽が大きく溜め息を吐いたのだが、桃太郎はそれをさらっと流して、先を続ける。


「この先にあるのは鬼ヶ島。鬼が何をしたのかは知らない。が、俺は鬼ヶ島に行かねばならないらしい。鬼が何をした。俺が何をした。鬼が何をしたのか、何を企んでいるのか、そんな事は俺は知らない。俺はまだ生まれて一年も経たないんだ。そんな可愛い赤子が何故、鬼ヶ島に行かねばならないんだ! もう、意味がわからない! そうだろ!? 民よ! 何だこの理不尽な現実は!! 何だこの覆す事も出来ない不条理は!! 民よ! 今こそ立ち上がるのだ!! 罪があるのかどうかは知らないが、鬼ヶ島に攻め込み、鬼を攻め滅ぼすのだ!! 今ここに宣言する! この桃太郎の名に誓って、鬼ヶ島を侵略する時が来たのだと!!」


 初めは穏やかな話口調だった筈なのに、話が進むに連れ、桃太郎の表情は強張り、口調が荒くなり、話の内容が支離滅裂になり、意味不明な事を言い出したと思うと、村人達の心を一つに纏め上げてしまったのだ。


 そして今に至る。咆哮を上げる猛者は、実は村人。老若男女を問わず。猛者では無く村人。咆哮を上げているのではなく、ただ大声を出しているだけなのだ。そうしないと、恐怖で縮みこんでしまいそうだから。大声を出して、お互いを昂らせて。そうした村人を桃太郎達は、ただ眺めるだけであったのだ。何が理不尽! 貴様が一番理不尽ではないか!! そう皆が叫びたいのは、勿論知っているのだが。


「行け!! 村人よ! 村を取り戻す為に!!」


 いや、村の権利を奪った奴の言葉ではないと思うのだが。そう思ったのは、きっと、皆一緒だと思われる。そして、鬼ヶ島を侵略する事が、村を取り戻す事に繋がるのかと。それもまた、皆一緒だと。


 更に仲間大多数を獲得に成功。もう桃太郎とは関係の無い話ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ