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プラネット ~君ありて幸福~  作者: 錺 あい
それぞれの物語
4/5

ペチュニアの咲くころに①

人に心を開かないカル、人に興味を持たないリリ。

そんな二人が出会い、新しい感情を知っていく。そんな物語。 


 「今回は、数名の部隊分かれてもらう。お前たちが担う仕事は、狙撃兵の発見、および殲滅。目立たず、ネズミのように動け。一時間後、軍隊が迎えに来る。それまで各自準備し、二、三人に分かれてろ。」

 指示者であるロニー・ノーマンは、淡々と機械的に言い終えた。

 外へ連れ出され、軍服に身を包んだ数名の少年少女たちは、突っ立ったまま、なんの疑問も抱くことなく、その言葉を受け入れる。

 まじめな顔をして話を聞く子、つまらなそううに話を聞く子、手遊びをしている子、ぼーっと空を見ている子。その聞き方には個性があった。

 「いいか、リリ。くれぐれも、目立たないことだ。」

 名指しで注意してくるノーマンに、腹を立てたリリは、そっぽを向き、ふらふらと歩き出した。

 「・・・・・・はやくたたかいたい。」と呟いて。



 そのまま集団と離れ、一人歩いたリリは、軍服をまとった数人の兵士を見つけた。今回共に戦うとノーマン教えられた軍服に身を包んでいたが、こそこそとした動き、リリは彼らを敵軍と判断した。

 リリは知能数こそ低いが、こういうことには敏感だ。口角を上げながら、敵軍の死角に入り、息をひそめる。ナイフを両手に持つと、最高に興奮した。敵はおそらく8人。どの兵士もいかつい体格に、重厚な装備を身に着けていた。

 リリの身長は129cmと、幼いころより投与された薬のせいか、周りと比べてかなり背が低い。八対一ではさすがに、厳しい。そう考えたリリは、不意打ちにすべてを掛けることにした。

 息を殺し、少しずつ獲物に近づく小さな姿は、まるで猫のように無駄がない。

 心の中でカウントし、敵軍のすきを見つけたリリは、一気にナイフを振り上げ、駆け出した。

 ぐわっと驚いたように声を上げるも、その言葉すら言い終わることができず、頸動脈から血を流し、倒れこむ。返り血がリリを汚した。

「いーち・・・・・・」その声に気づき、振り向く男も、また振り向く前に、血を流す。

「にー・・・・・・。」笑顔で返り血を浴びる小さな姿は、もはや、人の子には見えなかった。

「さーん・・・・・・。」

 三人目を倒したとき、リリは殺気に気づいた。慌てて振り向くも、敵はすでに発砲していた。

 「うわっ。」

 腕をかすり、若干血が出ている。その音に反応した敵軍は、ぞろぞろと集まりだした。

 「むー。けっこういるなあ。」すねたような言葉とは裏腹に、その表情は楽しそうだった。

 しばらく一人で応戦するも、その数から、リリは少なからず疲弊していく。自分の血なのか、返り血なのか判断がつかなくなったころ、突然銃声がなった。リリは一瞬、自分が撃たれたのだと覚悟したが、倒れたのは敵兵だ。

 「!?」

 リリが弾の飛んできた方を振り返ると、そこには、銃を構えたままのカルが立っていた。カルがきてもうひと月ほどになるが、結局リリは一度も声を掛けていなかった。

 赤く、大きな目で銃を構え、もう一発撃ちこんだ。またしても敵の眉間を直撃し、一撃で倒す。その距離は目算で25mほど。とてもただのハンドガンで眉間を二度も狙える距離ではなかった。

 その実状にリリの気持ちは大きく高ぶった。




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