ロングウェイ
ウゥゥゥゥゥウーーー。
暗い闇夜に鳴り響くサイレンの音が、近づいては遠くへ消えていく。
事が起きてからもう何度目だ。
今までの生活の中で、サイレンを聞くことは幾度となくあったが、どこかで何か起きたのか…その程度の関心を寄せる他なかった。
しかし、今の俺にとってそれは、ジェットコースターに乗っている時に、部品が弛んで外れそうになっている箇所を見つけてしまったかのような、恐ろしい不安感を与える物となっている。
もちろんそんな事態に出くわしたことはないが。
「はぁ、はぁ…!」
あれからずっと走ってきたからか、さすがに肩で息をしている。
夜も深まってきた。
こうなっては通常夜を明かすのに使用するような施設はアテにできない。
しばらくはどこかに身を潜めながら今後のことを考えるべきだ。
国道を何本か外れた道にでた。
車のヘッドライトも数えるほどしか通過せず、24時間営業のコンビニエンスストアだけが灯りの役割を果たしている。
「少し冷えるな…」
4月の夜風はまだ少し涼しく、急いでいた為に、羽織るものを置いてきてしまったことを今になって悔やんだ。
「ありがとうございましたー。」
深夜のコンビニにしては大きな声を出す店員がいるものだ…
と、感心していると、店から一人の男が出てきた。
いや、正確に言うと前髪でほぼ目は隠れ、襟足も首を覆う形となっているので、判断はしづらいが、女性特有の丸みを帯びたシルエットをそこに見なかったことにより男性と判断した。
「やるしかねぇな…」
男のあとを尾ける。
足取りは軽いが、昼の東京人さながらの速さには驚きを隠しきれない。
慎重に、全神経を集中させ、足音を立てないよう忍び寄る。
当時、我々の先祖にいらっしゃった忍者という者達もこんな感じだったのだろうかなどとつまらない妄想を巡らせる。
「おい、動くな。」
首にナイフを突きつけ、背後から声をかけた。
「…っ!?」
「いいか、変に動くと、この切れ味抜群のナイフがお前の喉を掻っ切ることになるぜ。」
「あ… お… えっ…」
動揺するのも無理はない。
普通大抵の人間は自分が事件に巻き込まれるなどとは微塵も思っちゃいない。
俺だってそうだった。
事件なんてのは、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞の中での出来事に過ぎないのだ。
今まで違う世界にいて、眺めていただけの世界に、いつの間にか自分がいるあの感覚は言葉で表せるほど単純ではない。
「いいか。今からお前の家までまっすぐ帰れ。寄り道は無しだ。…時にお前一人暮らしか?」
話の中に自分の家という、自らの知り得る情報が出てきたことに安堵したのか、それまでの動揺が収まった。
「えっと… はい。一人暮らし… です。」
「よし、歩け。俺をそこまで案内しろ。」
「あ、あの…! 歩くスピードは、いつ、いつものままでいいですか?」
自分の歩くスピードが常人のそれより速いことは自覚しているらしい。
「かまわん。」
程なくして築10数年、何の変哲もないアパートに着いた。
「ここか。」
「はい… あの、どうするつもりなんですか…?」
今後こういった説明を幾度することになるのだろうか、と先のことを考えると嫌になってくるが、記念すべき第一回だ、丁寧にしてやろうと意気込んだ。
「いいか、俺はな、訳あって世間から身を隠さなきゃならない。自分の家にも戻れない。公共施設も使えない。するとどうする?見ず知らずの人間に匿ってもらうほかないように思えないか?」
立て続けにいくつかの情報を言われたのに適応できなかったのか、男は数秒間黙り込んだ。
「えっと… はい。まぁそうですね。」
「だろ?だから俺が今こうしてお前に匿ってもらおうとしているのはある種、超自然的なことなんだ。」
さながら宗教勧誘、いや、ビジネスマンや学生向けの胡散臭いセミナー勧誘と大差ないな、と自分の物言いに呆れる。
「わ、わかりました。ぼ、僕に危害を加えないと約束してくれるなら受け入れましょう…」
ほう、物分りがいいな、と20代前半くらいと思われる男を見て感心する。
「よし、じゃあ頼むぞ。どこかに通報したりってのは、まぁお約束だ。これ以上は言わなくてもわかるよな?」
「てめぇの命はねぇぞ。ですよね… わかります…」
「そういうことだ。」
男の部屋は暗かった。
夜だからとかそういうことではない。
全体的に陰気な雰囲気が漂っていた。
「匿ってもらう身で失礼だが、その… 随分と暗い空間だなぁ、ここは。」
買ってきたコンビニの袋を冷蔵庫の中に入れると、1KのKと称される場所から戻ってきた。
「そうですかね。 人が入るのはとても久しぶりなので、なんというか斬新です。」
「まぁ文句はねえよ。 この辺適当に座っていいか?」
床に乱雑に置かれた雑誌を何気なくどかして、自分の座れるスペースを作った。
「あ、はい。基本的に好きにしてもらっていいですよ。このパソコンに触ることさえしなければ。」
よく見れば窓際、玄関から1番遠い所に齧られたりんごマークの入ったパソコンがあるのがわかる。
「俺は、ハイテク技術は基本的にダメだからよ。それは大丈夫だ。」
本当の事だった。携帯電話の普及までは良かったが、その後のスマートフォンなる物の台頭には面食らった。おかげで今でもガラパゴス携帯、所謂ガラケーユーザーだ。
「おっ、そうだ。テレビ見せてもらっていいか?」
「あ、ええ、どうぞ。」
男は手元にあったリモコンを渡した。
すぐにニュース番組にチャンネルを回す。
ない… ない… どこにも、ない。
「まだ見つかっていないのか…」
タイピングの音が止み、男もテレビを見ていた。
「あの、何かしたんですか…?」
この男に全てを話す必要があるのだろうか…
しかし話しても問題はないような気もした。
人は孤独になると見ず知らずの人間でも、同じ境遇にいるだけで親近感を覚えてしまうものだ。
「まぁな。大したことじゃあないが、人を、刺しちまった。」
「えっ…!」
「安心しろよ。別に強盗に入ったわけでもないし、通り魔的にやったわけでもない。」
「いやいや…! 理由はどうあれ、人を刺した人に安心しろって言われて安心できる人がどこにいるんですか…!?」
そんな経験俺にだってあるはずがない。
「お前が最初の一人になればいいだろう。」
「そんな無茶な…」
男は再び振り返ってカタカタと音を立て始めた。
「お前、いくつだ?学生か?」
「そんなこと聞いてどうするんですか…? 21ですよ。今年で22になります。学生ではないです。」
音が鳴り止む気配はない。
「そうか、普段は何してんだ。」
「こうして家に篭って、インターネットの世界で生活しています。」
ほう、あれか、今流行りのあれか、と思う。
「定職に就いてないのか。」
「えぇ。うちたまたま親が裕福で、そのお零れで生活しているんです。」
お零れ、ね。そんなものがあるなら俺も頂戴したいものだと皮肉りたくなるのを抑える。
「今の生活に満足してるのかよ。」
音が止んだ。
「…してますよ。 それよりおじさんこそどうなんですか? その調子だと何か問題があったんでしょう? どうです? 今の生活に満足してましたか?」
この男がここまで流暢に話すとは思いもよらず、少し気圧された。
「ははっ。問題か、あったよ。満足できてたとは言い難いがね。」
妻が2年前に癌を宣告された。
必死に闘病してきたが、先日やむなく亡くなった。
息子は何とか親戚に頼んで預かってもらっているが、妻を無くしたショックは大きく、3日3晩パチンコ屋に入り浸ったこともあった。
それによって抱えた借金はいつの間にか生活に支障をきたすようになり、しつこく返済を迫ってくる借金取りが、息子の通う学校の門前に現れたと息子から聞いた時はもう取り返しのつかないほどに精神を蝕まれていた。
気づけば包丁を片手に奴が再び家に現れるのを待ち、返すフリをして家に招き入れ、後ろから刺した。
何も考えられなかった。
死んだかどうかもわからない。
微かな思考力が絞り出した指示はその場から逃げろということだった。
一体奴は死んだのだろうか…
指紋は付けずに事を運んだつもりだが、事の経緯から俺が疑われるのは間違いないと言っていい。
「別に無理に聞く気はないですから、話さなくてもいいですよ。」
「何だよ。拍子抜けだな。こちとら今思い出したくもねえことを思い出して、整理してたってのに。」
一瞬だが、話す気になっていたのは本当だ。
ただ、誰かに話して少しでも楽になりたかったのかもしれない。
「いいんですよ。こんな世の中に生きてたら嫌なこととか辛いことなんて絶対に避けられやしないんですから。そういうことをいちいち背負ってたら疲れて死にたくなりますよ。だから話したくないことは話す必要ないです。」
「話して楽になる場合もあるんだぜ。」
「そうなんですか。不思議ですねそれは。」
今後どうするべきなのか、自首すべきなのか、それとも隠れていられるだけ隠れているべきなのか。
見つかるのは時間の問題だ。
「何か食べます? 大した物ないですけど。」
男は買い置きしてあったレンジで温めるだけのご飯と、コンビニで買ってきたと思われる惣菜を分けてくれた。
「悪いな。 明日からは俺も金を出す。持ち金が尽きるまでだが。」
もちろんこれも借りている金だ。
「明日からは。っていつまでいるつもりなんですか… 僕のプライバシーが侵害され過ぎだと思いませんか。」
「そりゃ思うけどなぁ。俺も行くところがない。できるだけ早く次の行動は決めるつもりだが、それまではなんとか世話になりたい。」
不服そうな表情を浮かべたが、仕方ないか、といった感じで了承してくれたようだった。
男の家にお世話になって、2日が経った。
相変わらずどうすべきかは決まらず、焦りを感じていた。
「17時ですね。」
「おっ、夕方のニュースの時間だな。」
チャンネルを回すとそこには整った顔のニュースキャスターが、本当に血が流れているのかと疑いたくなるほど白く、薄情な表情で淡々とニュースを読み上げていた。
「さて、次のニュースです。昨日未明、◯◯県◯◯市◯◯町のアパートの一室で、男性が背中から血を流し、倒れているのが発見されました。」
遂に来たか… と額に汗が滲むのを感じる。
「被害者の男性は背中に深い傷を負っており、意識不明の重体となっております。尚、警察は殺人事件とみており、当時アパートの住人であった…」
俺の顔写真が名前付きで地上波にのった。
以前妻と、
癌と闘病して無事に治ったら、24時間テレビなんかのチャリティー企画にでも出れるんじゃないか。そうしたらメイクさん達が綺麗にしてくれるんだろうね。
などと話したが、現実はなんの変哲もない免許証の証明写真だ。
全く地上波デビューだというのに全くいい気はしない。
「あ、これって…」
男がようやくニュースに気付いた。
「そうさ、俺だよまさしく。生き別れの弟でもなんでもない。」
男は一人納得した様子だった。
「なんだよ。疑ってたのか?本当は何もしてないんじゃないかとか思ってたか?」
「あ、いえ、藤原さんって言うんだなぁと思って…」
そういえば、名前は名乗っていなかった。
このような状況下では、初対面の人間には名乗るなどという礼儀はそれほど重要とは思えず、霞みに霞んだ結果、全く頭になかった。
「あぁ、そうそう。道長さんだよ道長さん。ロングウェイってな。」
「へぇ… なんかイングウェイみたいでかっこいいですね。」
「誰だそりゃ?劇作家か何かか?」
「それはヘミングウェイじゃないですか。それに小説家です。」
「知ったこっちゃねえよ。」
現場では捜索が行われているが難航しているようだ。
そりゃそうだろう。
ここまで公共交通機関も使わずに身体一つで走ってきたんだ。
監視カメラにすら映ってないだろう。
「藤原さん有名人ですねぇ。」
この男は冗談とも本気ともつかないことを言うなと呆れる。
「そうだなぁ。人様を勝手に写真付き、年齢、本名と公開だなんて、ここに居座ってる俺よりよっぽどプライバシーの侵害だと思わないか?」
「侵害されているのはあくまで僕ですけどね。」
「同志だな。」
「違いますよ。」
それからはいくつかチャンネルを回したが、やはりどこのニュースでもちらほらと報道されていた。
いよいよ時間がなくなってきた。
どう動くか決めなくてはならない。
「あいつ、重体だと言ってたな。」
「藤原さんが刺した人ですか。」
「そうだ。死んでないなら、罪状は殺人未遂で、ある程度の懲役で済むだろうか。」
「いやいや、それ以前に殺人未遂ってレッテルとしては相当なもんですよ。そっちのリスクを考えた方がいいんじゃないですか。」
そのあからさまに他人事を扱う言い方に、焦りからか苛立ちを覚えた。
「じゃあ、どうしろってんだ!?俺に何ができる!?逃げようったっていつかは捕まるんだ!」
声を荒げたのに男は驚き慄いていた。
「… すまん。こんなこと言っても仕方ないのはわかってる。」
「いえいえ心中お察しします… 確かに僕みたいな蚊帳の外、ましてや無職引きこもりニートに言われたら腹も立ちますよね…」
重苦しい空気と共に静寂が6畳一間を包み込んだ。
「あの… 僕から提案があります。」
男は咄嗟にこちらに振り向き、その場に正座をした。
「なんだ。」
「たった3日間ですが、話していて藤原さんは悪い人ではないと思いました。だから藤原さんはここで捕まるべきではない。逃げるべきです。」
「悪い人ではないから逃げるべき…か。その道理が世間で通れば俺も今ごろそこらの牛丼屋にでも行ってるさ。」
「だからです。道理が通らない世間から逃げるのです。」
意味がわからなかった。
聞き間違いだろうか。
世間から逃げるってのはスキャンダルを撮られた芸能人が一時的に活動を自粛して、世間が静まるのを待つようなアレのことだろうか。
「そりゃ、どういう」
「牛丼屋には行けなくなるかもしれませんけどね。それくらい我慢できますよね。」
そう言うと男はどこかに電話をかけ始めた。
通報するような様子ではなかったので止めなかったが、さっぱり先が読めない。
「決めました。行きます。僕。明日から。」
「どこにだ。」
「大学です。休学してたんです。」
大学生だったのか、こいつは。
「それは感心だが、それと俺の逃亡がどう関係してくるんだ。」
「話すと長くなります。とりあえずこれから僕の言う通りに準備を進めてください。」
訳も分からず、しかしアテもない今となっては、縋る必要すらあるような気がした。
「明日、藤原さんは世間から逃げるのです。」
翌朝、男に連れられて向かった先は空港だった。
「おいおい、冗談だろ。俺を国外逃亡させるってのかよ…」
「察しがいいですね。その通りです。」
ここに連れてこられて他に何を連想できると言うのだろうか。
いや、状況的にはこれから飛行機ジャックを起こすという流れも予測できる。
テロリストが飛行機をジャックし、たまたま乗り込んでいたFBIやCIA捜査官などの活躍により危機を脱するというのは、洋画ではよくあるパターンだ。
「お前言っておくがな、俺は生まれてこの方海外に行ったことがないんだ。パスポートだって持ち合わせてねえんだよ。」
男は眉一つ動かさなかった、いや眉は見えないのだが、そんな気がしたのだ。
「そんなことは承知の上です。知らないでしょうけど、こういうのってお金とコネがあればなんとかなっちゃうんですよ。」
男はそう言いながらあっという間に手続きを済ませた。
「なぜこんなことまでする気になったんだ。」
「あれ?もしかしてお節介でした?」
男はそこまでの堂々とした振る舞いとは正反対とも言えるほどの動揺を見せた。
「いや、未だにこれから起こることが信じられないだけだ。俺の想定を遥かに超えることが起きてやがるからな。」
「これが若さですよ。」
男はニッと口角を上げ、
「それに…」
一瞬俯いたと思うとすぐに顔をあげ、
「感謝しなきゃいけないのはこっちの方なんですよ、藤原さん。」
突然思いも寄らぬ言葉を発せられ、戸惑う。
ん…?感謝、カンシャ、かんしゃ、感謝と言ったか、この若者は。と頭の中で反芻する。
「僕はずっと、今の状況から脱したいと思っていました。でもそれをなかなか行動に移せなくて…」
「俺は何もしていないが。」
「藤原さんはきっかけをくれたんですよ。だってそうでしょ?僕がこうして行動を起こさなきゃ間違いなく捕まって刑務所行きなんですから。」
間違いなく、と言われて背筋がゾッとするのを感じる。
「僕の行動一つで、他人の人生が左右されるなんてことは今までの人生ではありませんでした。しかし、現にこうして僕は行動を起こせた。そういう意味では、藤原さん、あなたは僕に助けられたと思っているかもしれませんが、僕も藤原さんに助けられたんですよ。これはそのせめてものお返しだと思ってくれたら幸いです。」
男は丁寧に、一言一言嚙み締めるように言葉を紡いだ。
「俺は好きでこうなったわけじゃないんだがな。」
「まぁなんにせよ、おあいこですよ。貸し借りなしです!」
貸し借りなし。その言葉が妙に良く響いた。
人は知らず知らずの内にこうして、人に何かを与え、何かを貰っているのかもしれない。
「そうか。じゃあ遠慮なくもらっておくよこの恩は。」
表情が緩むのが自分でもわかった。
「そうして下さい。藤原さんも何が待ち受けているかわかりませんが、なんとか生きて下さい。」
良い表情だ。
若者らしい青臭さを感じさせるが、そこにある爽やかさは今や自分には立ち還れない過去のものであり、羨ましくも思える。
「親のお零れも大概にしとけよ。お前は行動できる。一人でだって何でもやれるに違いねぇさ。」
「そのお零れで助かったこと、忘れないでくださいよ。」
無邪気に微笑む男の表情は、彼の明るい未来を示唆するようでもある。
「お前は若い。俺なんかよりずっとな。人生普通に生きてりゃ、長い道のりだ。ロングウェイだ。これからだぜ。がんばれよ。」
「これからロングウェイを行く僕がロングウェイを救った、か。」
などと意味のわからないことを言って男は搭乗ゲートの手前で立ち止まった。
「イングウェイだかヘミングウェイだか知らんが、ゴーイングマイウェイで行きゃあいいさ。」
「英語、意外と堪能なんですね。」
「サンキューソーマッチだ。」
「これならあっちでも心配いらないですね。」
「ドントウォーリーだ。」
得意げに知っている英語を連ねる。
「時間です。ではまた、どこかで会えたらいいですね。」
「2回オリンピックが終わった頃には俺も戻ってこれるかもな。」
今年はオリンピックイヤーだ。
ゲートをくぐる。
男は軽く会釈をして、手を振った。
端から見たらこのシーンはどんな状況設定がなされるのだろうか。
照れくささはなく、手を振り返し、歩を進めた。
滑走路が見える。
飛行機が飛ぶには助走がいる。
助走をするのに必要な場所として滑走路がある。
飛ぶためには長い距離を走らなければならない。
人間社会も同じじゃないだろうか。
今ある現状から飛び立つためには助走が必要で、助走を終えた時、人は飛び立てるのではないか。
1機、また1機と飛び立っていく。
青い空には飛行機のエンジン音が響き渡る。
キィィィーーーーーン。
〜end〜